■房総の環境保護運動を振り返る

三番瀬公金違法支出訴訟〈三番瀬ヤミ補償裁判〉

元三番瀬公金違法支出訴訟原告  細田邦子



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 三番瀬埋め立て反対運動が盛り上がっていた1999年11月、三番瀬埋め立てを前提として千葉県企業庁が市川市行徳漁協、金融機関との「三者合意」による「転業準備資金融資」という名目の漁業権補償(約43億円)を17年も前に行っていたことが突如明らかになった。
 そのヤミ補償の利息が無視できないほど膨らみ、2000年2月、企業庁は利息分として56億円を予算化せざるを得なくなった。この時点で、多くの反対運動にもかかわらず千葉県が三番瀬を何が何でも埋め立てようとした背景が白日のもとに晒(さら)された。

 そこで県民の有志は2000年6月、沼田武県知事と中野英昭企業庁長に対し、56億円の支出差し止めと、支出した場合の損害賠償を求めて千葉地裁に提訴した。ここから5年にわたる裁判闘争が始まった。

 始めた当初は司法を甘くみていて、事実が合理性に貫かれていれば勝訴できると多くの原告は確信していた。が、5年後の2005年10月、千葉地裁が下した判決は原告敗訴という結果になった。
 しかし事実認定において、「三者合意」には「瑕疵(かし=違法性)がある」とされた。この局面で、原告団は控訴するかどうかの判断を迫られた。原告団、弁護団は悩みぬいた挙句(あげく)、控訴せず判決を確定させたが、今となっては賢明な判断となった。それ以後、県の三番瀬政策に大きな影響を及ぼしたからだ。

 38名の弁護団や約500名の「支援する会」、21名の原告団の方々には大変なご苦労をおかけした。しかしその結果、完全に、と言わないまでも、県はそれ以降、三番瀬保全の方向に舵をきることになった。皆様本当にありがとうございました。

(2021年9月)







裁判傍聴にかけつけた「三番瀬公金違法支出訴訟支援する会」の人たち=2000年10月13日、中山敏則撮影






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