風力発電による環境破壊の現場を見学

〜東伊豆の熱川天目山と三筋山〜




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 全国自然保護連合と千葉県自然保護連合のメンバーは12月6日、東伊豆町の風車(風力発電機)を見学した。「風車問題伊豆ネットワーク」や「風車問題を考える住民の会」などの人たちに案内してもらった。風車の騒音や低周波音で健康被害を受けている方々の話も聞いた。


「風車はエコではなく殺人機だ」

 熱川天目山の尾根筋には大型風車が10基設置されている。設置者(事業者)は「CEF伊豆熱川ウインドファーム」だ。
 2007年11月の試運転開始以降、周辺住民は健康被害に悩まされている。風車のブレード(羽板)が回転するときに発生する騒音や低周波音の被害である。「夜、眠れない」「耳鳴りがする」「頭が痛くなる」「吐き気がする」「リンパ線がはれる」「病院通いを強いられている」「農作業ができない」──などだ。120戸のうち8割の世帯がなんらかの健康被害を訴えている。心筋梗塞や脳溢血など、風車が原因で7人が亡くなったという。
 被害は家畜や動物にもおよんでいる。犬や猫が半狂乱状態になったり、飼っていた蜜蜂が逃げ出したりしているのだ。
 ところが、健康被害の原因は風車ということが証明されていないため、泣き寝入りである。医者に相談すると、「ほかのところへ移転したほうがいい」と言われるそうである。じっさいに、これまでに10戸が移転した。
 健康被害を訴えている方は、私たちにこう訴えた。「なぜこんなに苦労しなければならないのか。風車はエコではなく、殺人機だ」「こういうものを放置しておくことは許せない! 規制できるように尽力してほしい」と。まさに“風力発電公害”だ。周辺住民は水俣病や原発事故の被害者と同じ扱いを受けている。


風車はまともに動いていない

 風車の設置現場にも行った。熱川天目山は10基すべてが運転を停止していた。風が強かったからだ。強風が吹くと運転できない風力発電というのはいったい何だろうか。
 近くの浅間山に建設されている町営の風車は、全3基のうち1基しか動いていなかった。「残り2基は故障しているのではないか」とのことだった。風力発電は安定したエネルギー供給源となるのかどうか、大きな疑問をいだいた。
 さらに、風車は風光明媚な山の景観を壊している。自然エネルギーがもてはやされているが、風力発電についてみると大きな問題を抱えていることを実感した。


原発推進の構造と同じ

 三筋山にも登った。ここは、大型風車が21基も建設されることになっている。事業者は東京電力とユーラスエナジー株式会社(東電の関連会社)である。
 三筋山は伊豆の象徴ともいえる天城山系のひとつだ。頂上からは360度の大パノラマを望むことができる。その尾根に21基も建設するのだ。景観は台無しである。三筋山一体は貴重な動植物の宝庫ともなっており、自然破壊も危惧されている。
 市民団体が反対運動を続けてきたが、カネと政治力を駆使した東電のあくどいやり方で強引に建設が決まってしまった。
 地元の方々にそんなことを教えてもらい、大型風車の建設は原発推進の構造と同じということを感じた。


ドイツと大違い

 『週刊朝日』2012年10月19日号に「黒い森─脱原発の国、ドイツから迷える国、日本へ」が載っている。
 ドイツ南西部のバーデン・ヴュルテンベルク州フライブルクは、原子力エネルギーとの決別を宣言し、先進的なエネルギー政策をすすめている。この町では、風力発電機(風車)を設置するさい、住宅地から離れた場所を選ぶのが大前提となっている。景観にも配慮し、「設置する山や森の最も高い所には置かず、少し低い場所に作るようにしている」という。さらに、あらゆる疑問にたいして情報を公開しているという。
 日本とは大違いである。日本では、住宅地のすぐ近くとか、景勝地の山の頂上に風車をどんどん建設する。住民が反対しても建設を強行である。情報公開も消極的だ。なんという違いだろうか。東伊豆の風車を見学し、そのことを認識した。
(文責・中山敏則)




熱川天目山の屋根筋に建設された10基の風車。
強風が吹いていたため、10基すべてが運転を停止していた。



熱川天目山に建設された風車。強風のため運転停止中だった



三筋山から見た熱川天目山の風車



360度の大パノラマを楽しめる三筋山の尾根に21基の大型風車が計画されて
いる。写真は「風車問題を考える住民の会」が作成したイメージ。



東伊豆町の浅間山に3基建設された町営の風車。
海の向こうに大島が見える



東伊豆町の浅間山に建設された町営の風車。
3基のうち、この2基は運転を停止していた。「故障ではないか」とのこと。



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