新たな工業団地造成を決定
 ─「行財政改革」は看板倒れ─

開発問題研究会





 堂本千葉県政は「行財政改革」を推し進めています。「聖域なき改革」「抜本的改革」などと宣伝していますが、内容をよくみると、大型公共事業は聖域化です。その一方で、県立高校、病院・福祉施設などの統廃合などは容赦なく進める方針です。こうしたことから、「実際にやっていることは沼田前県政とあまり変わらない」という声もだされています。

 堂本知事は、破綻必至の常磐新線沿線巨大開発をはじめ、地元住民が強く反対している東京外郭環状道路(外環道)、第2のアクアラインである東京湾口道路、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、第二湾岸道路などの建設促進を国に積極的に働きかけています。水道用水や工業用水が余っているために造る必要のない八ッ場ダム(群馬県に予定)も建設促進です。

 このほか、工業団地もそうです。千葉県内では、工業団地が大量の売れ残っています。たとえば、2002年9月13日の『千葉日報』はこう記しています。

 「県内では県企業庁や県土地開発公社、区画整理組合などが内陸12、臨海5の計17カ所の工業団地を分譲中。これらの売れ残りは3月末現在で計453ヘクタールと膨大だ」
 「(県は)立地促進に懸命だ。しかし、解決は容易ではない。県内の新規工場立地面積をみると、89年の99.3ヘクタールに比べ、2001年は5分の1の19.9ヘクタールと進出ペースは極めて鈍い」
 「そのうえ、企業庁は新たに2カ所の工業団地を造成中で、計画中も4カ所ある」

 それなのに、外郭団体の「千葉県まちづくり公社」は、新たな工業団地(大栄物流団地)の着工を決定しました。この公社の理事長は、天下り幹部の中野英昭氏です。元企業庁長の中野氏は、三番瀬埋め立てを前提にした「転業準備資金」43億円の利息56億円を違法に支出したとして県民有志から損害賠償支払いの訴訟を起こされています。

 新聞報道によると、「事前に進出企業を募集したところ、物流業、メーカーなど計8社から引き合い」があったので着工を決めた、とのことです。
 しかし、すべての工業団地がこういう理屈で造成されてきました。アンケートなどにいくつかの企業が「関心がある」「進出を検討したい」と答えても、それは“社交辞令”であって、「必ず進出する」というものではありません。これは、「かずさアカデミアパーク」など多くの工業団地の事例でも明らかです。

 堂本知事が進める行財政改革は、ムダで環境破壊の従来型開発を推し進め、県財政をいっそう破綻に追い込むこととは確実です。県民はますます犠牲を強いられることになります。

(2003年1月)



【参考リンク】
 ・大栄物流団地の概要(千葉県まちづくり公社HP)





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