行財政改革は手つかず

〜東国原宮崎県知事と堂本前千葉県知事〜

中山敏則


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 東国原宮崎県知事は(2010年)12月知事選への不出馬を表明しました。これを、テレビが大々的に報道です。内容も、宮崎県民の支持が高いことなどや東国原知事をヨイショするものばかりです。


 行財政改革はほとんど手をつけていない


 そういう中で、(2010年)9月23日付け『東京新聞』の「こちら特報部」は、「9割以上の支持率はどこか不自然。イメージだけで県民が踊らされているのではないか」とする満行潤一県議(社民党)のコメントなどを載せ、次のように記しています。
    《「東国原知事は宮崎をどう変えたか」の著作がある宮崎公立大の有馬晋作教授(行政学)は、知事の功績として「圧倒的な発信力に加え、宮崎県知事ではじめてマニフェストを提示し行政運営した」と評する一方で、「行財政改革はほとんど手をつけていない」と分析する。
     「これまで“改革派知事”と呼ばれる浅野史郎元宮崎県知事らは行財政改革に力を入れてきた。東国原知事は改革派っぽく登場したが、組織運営も前例をそのまま踏襲。議会とも対立せずに協調型の行政手腕」と指摘する。》


 堂本前千葉県知事も同じ


 改革派っぽく登場したが、組織運営も前例をそのまま踏襲。議会とも対立せずに協調型の行政手腕──。こういう姿勢は、堂本暁子前千葉県知事もまったく同じでした。
    《(堂本知事は)「女田中(康夫・長野県知事)にはなりたくない」とも語り、県議会との対立を避けたい意向を示している。しかし、こうした姿勢で「変化」を望んだ県民の期待に応えられるのだろうか。変化には大きな痛みを伴う。議会との強調ばかりに目を奪われると、結果的には変化を現実のものとすることができず、県民の期待を逆に裏切ることにつながる恐れがある。
     5日の就任式後の記者会見で、県政の具体的ビジョンが示されず、前県政の枠組みを打ち破るような施策も見えなかったことは、こうした危ぐを膨らませた。》(『毎日新聞』千葉版、2001年4月6日)

    《県政のチェック機能が求められる県議会。政党に属さず「無党派」で当選した経緯から、当初は堂本知事との対立が表面化するとの見方もあったが、3年間で議会側が否決したのは、自民から「行きすぎ」を指摘されて廃案になった男女共同参画促進条例案だけだった。事実上ほぼ「オール与党」となっており、協調路線の姿勢が目立っている。》(『産経新聞』千葉版、2004年4月18日)

    《一体、堂本さんは何のために知事になったのか。もちろん利権のためではないだろう。しかし、公共事業を見直して、利権政治と訣別するつもりもないようだ。とすると、次の田中康夫・長野県知事の指摘にはうなずかざるをえない。
     「(堂本さんはかつて)長野県の副知事になりたいと言っていたこともある。権力の座にいたい方。早晩、その真実が明らかになる」(2001年5月21日、東京・有楽町の日本外国特派員協会での講演)
     堂本知事の就任以来の行ないは、権力の座にいること自体が目的になっているように見える。(中略)利権政治屋は、今後淘汰されて行くだろう。警戒すべきは「市民派」を装いながら、利権構造を温存する政治家だ。》(永尾俊彦「巨大開発に熱心な「市民派」を警戒せよ」、『週刊金曜日』2003年4月4日号)
 改革派っぽくふるまうが、実際は保守勢力が多数を占める議会と協調(=癒着)。そして、権力の座にいること自体が目的に──。そんな知事が今後も幅をきかせそうです。

(2010年10月)








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