廃棄物処分場問題全国交流集会 in 千葉県

  風土を壊し、水系汚染を拡大する

  残土・産廃処分にストップを!


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 8月25、26日の両日、廃棄物処分場問題全国交流集会が千葉県で開かれました。
 25日は2地域の現地見学会です。市原市コースには60人が、海上町・銚子市コースには40人が参加。長年にわたって自社処分場で産廃が処分され、それによってまわりの環境や水源地が汚染されている状況や、住民の反対を無視して処分場の建設が強行されている現場などを見て回りました。
 25日の夜は、千葉市内で全国各地からやってきた参加者と県内各地で産廃・残土問題にとりくんでいる人たちの交流懇親会がおこなわれました。懇親会には、堂本暁子千葉県知事と大槻幸一郎副知事も出席。知事はあいさつのなかで次のように述べました。
    「千葉県知事に就任し、不法投棄の多さに驚いた。産廃置き場での火事もひんぱんに起きており、私が知事になってから9件も発生している。それで、産廃の不法投棄をきびしく取り締まるなどの対策を強めている。国に対しても、処分場設置を許可制にすることや、自社処分場に対しても法規制するなどの要望をしている。今後も、国や他の都道府県への働きかけをつづけながら、千葉県でできることは精一杯やっていきたい」
 また、前の晩に市原市内で徹夜パトロールをした大槻副知事は、徹夜パトで産廃不法投棄の現場を2か所摘発したことをくわしく話し、「次週も、環境生活部長をつれて夜間パトロールをおこなう。美しい千葉、美しい日本を子孫に残すためにがんばりたい」と決意を語ってくれました。
 知事と副知事は懇親会の最後まで出席し、全国各地や県内各地からの活動報告に聞き入りました。
 26日は、習志野市民会館で全体集会です。集会には全国から120人が参加。基調報告した産廃処分場問題全国ネットワークの大橋光雄事務局長は、「千葉県内の産廃投棄のすごい現場をみて、胸がふさがれた」「国は“リサイクル”や“循環型社会”を盛んに宣伝し、その実行を国民に求めているが、じっさいにはゴミの量は減っていない。産廃の排出量は、減るどころか逆に増えている。つまり、国は有効な対策をなにも講じていないということだ」「不法投棄を防ぐとりくみは必要なことだが、排出量をどう減らすかという、元を断つことが大切になっている。しかし、国は、ダイオキシンやPCBの問題にたいしてなんの対策も講じないなど、だらしない対応をつづけている。そのツケがいま回ってきており、国土が汚染されたり破壊されつつある」などと述べました。そして、「問題は深刻なのに、私たちの運動はまだまだ不十分。しかし、処分場の設置数は、以前よりはかなり減っている。これは反対運動の成果だ」「小泉首相は“ゴミゼロ社会”をうたっているが、それをじっさいに実現させるためには運動が欠かせない。がんばりましょう」と訴えました。
 このあと、全国や千葉県内の各地で産廃・残土問題にとりくんでいる住民らが、運動の報告や問題提起などをおこないました。
 最後に、「風土を壊し、水系汚染を拡大する残土・産廃処分にストップを!」と訴える集会宣言(千葉アピール)と特別決議を採択し、集会を終えました。





集会宣言(千葉アピール)



 千葉・房総半島に、激しい産廃の波が押し寄せるようになって、長い年月が経ちます。そして近年には、また一層ひどい違法産廃と残土の横行が、市原地域一帯や銚子地域一帯をはじめ、千葉県内各地で続いているのです。
 ここでは、まさに現代日本社会の裏側の典型を見せつけるような、すざまじい光景が随所にあります。私たちは、この地で、全国の廃棄物問題に取り組む多くの仲間が集い、こうした現場の数々を歩いて、今さらのように居たたまらない衝撃を受けました。
 過去半世紀余り、私たちの国は、歴代政府による経済最優先の政策で突っ走ってきました。一時、国の内外から、日本経済は驚異的な成長を成し遂げた、と言われましたが、これと引き替えに、取り返しのつかない自然環境の破壊を、国中へ広げてしまいました。
 空気と水と大地は、今や危機的な汚染に曝されています。いたるところで、山林平野はさまざまな名目のもとで無残に削られ、その多くの跡地に、膨大な廃棄物や有害物質が、日々埋め込まれているのです。
 一方では、大量生産・大量消費のために、おびただしい量の資源を世界中から輸入し、その輸入先の国土の自然破壊にも大きく加担してきました。
 ところで、政府・経済界はもちろん、大多数の国民も、こうした破滅的な経済活動の集約としての、「大量浪費」という負の要素に目を向けていません。止めどなく吐き出される巨大な産業廃棄物と一般廃棄物の4億5千万トンという数字がこれをよく物語っているのではないでしょうか。
 私たちは今まで、廃棄物や有害物質を出さない社会への転換を強く求めて、各地の住民運動を続けてきました。しかし最近の政府・自治体は、出る廃棄物を主として焼却の拡大・高度化と、リサイクルの増進で減量化を図り、追い詰められた埋立地の逼迫や、ダイオキシン問題に対処しようとしています。
 これらの場当たり政策は、相変わらず廃棄物問題・環境問題の本質から国民の目をそらし、産業第一主義の砦(とりで)を維持しようとするものにほかなりません。
 これでは、出さなくてもよい、また出してはならない廃棄物を、その元から徹底的に抑制する動機にならず、資源の浪費や環境負荷の増大を抜本的に抑止することはできないでしょう。その逆をいく可能性の方が大きいのです。
 いま、政府・産業界に、何よりも求められているのは、生産段階での、資源消費の大幅削減・廃棄物と有害物質の徹底した発生抑制・工業生産品が廃棄物にならないための生産者責任・廃棄物の焼却と埋め立て主義からの脱却、そして文字どおりの「資源循環型社会」への転換のための、法制度と経済システムの抜本改革です。
 私たちは、この房総半島の惨たんたる環境破壊の現場に立ち、一日も早く、わが国が環境回復の方向へ政策の転換をはじめるよう、改めて政府・産業界に強く求めるものです。
 以上、集会宣言といたします。

 2001年8月26日

「第8回 廃棄物処分場問題全国交流集会 in 千葉県」参加者一同










全体集会で基調報告をした「産廃処分場問題全国ネットワーク」の大橋光雄事務局長








全体集会のフィナーレ。実行委員のメンバーが壇上にあがり、「地域住民無視の産廃行政を転換させよう」などと決意をちかいあった。








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