小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会

追原ダム計画の全面中止を県に要請




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 「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」は1999年9月8日、追原ダム問題で千葉県と交渉を行い、沼田武知事に「追原ダム建設中止を求める要請書」を提出しました。
 これは、千葉県の国庫補助事業評価監視委員会が8月4日、小櫃川源流域の七里川に計画されている追原ダムについて条件付きで事業「継続」を認めたことに関連して、その意見を尊重し、同事業の全面中止を求める要請をしたものです。
 また、1998年3月29日に追原ダム建設現地調査団によって採択された、七里川渓谷の貴重な自然を残すために追原ダムの建設に反対するという「追原宣言」の賛同署名、1392筆も同時に提出しました。


 第4回干葉県土木部・都市部所管国庫補助事業
 評価監視委員会の審議結果

 すべての事業において継続が妥当であるとの意見であった。ただし、河川総合開発事業のうち追原ダムについては、「小櫃川の治水対策及び君津広域水道事業団の水源として位置づけられているが、水需要の伸びが鈍化していることから、現在実施中である県全体の水需給計画調査の結果を踏まえて、追原ダムの水源としての必要性が判断されるので、この間(2カ年程度)は、流量調査観測等の必要最小限の調査にとどめるべきである」との意見が付された。



 この評価は、今後2年程度の水需給計画調査の結果により事業の必要性を検討するというもので、事実上の「休止」ともいえる状態です。ダム計画の「休止」は千葉県では初めてのことです。
 9月8日、県庁を訪れたメンバー9人は、県土木部河川海岸課の平井俊行課長補佐ら3人に面会しました。連絡会の佐野今朝雄会長は、要請書を示して追原ダム計画の全面中止を求めたあと、「国の補助事業として一度採択されると、何が何でも建設するという傾向があるが、今回はどうか」と質しました。これに対し、県側は、「そんなことはない。委員会の意見を受けとめ、まじめに検討する」と答えました。
 また、追原ダム建設理由の一つとなっている治水面では、100年に1度の洪水に対処できるようにしているが、護岸工事の進歩によってダムをつくらないでもいいようになってきている、という話が双方から出ました。
 もう一つの利水面では、連絡会の御簾納照雄事務局長が、「君津広域水道事業団は、今まで地下水を使っていたところをつぶして小櫃川の水をむりやり使わせている。住民は、地盤沈下もおきていないのに、わざわざ高い金を払って、まずい水道水を飲ませられている。これは工事を供給するためにだけやっているとしか思えない」と話し、「税金を使わないでうまい水を飲めるようにしてほしい」と要望しました。
 さらに、泥岩からなる小櫃川のダムは、砂泥のたまり方が予想以上に早く、亀山グムは最初の10年で50年分以上埋まってしまった、と連絡会の鵜沢喜久雄幹事から調査報告がありました。また、ダムよりも山の緑のほうが保水能力がすぐれているのに、山砂採取のあとがそのまま放置されたり、表面の土がはがされたあとに植林しても木は育たず、産業廃棄物施設は水をよごしている。千葉には負の施設があまりにも多い、という話が出されました。
 要請書の最後にある、笹川上流の片倉ダム流域の「君津エースゴルフ場」の、造成途中での放置のあまりにもひどい状態についても話がおよびました。
 「なんでもいいから造るのが仕事なんじゃないか」との素朴な質問に対して、土木部は、「そんなことはない。県民のために保全するのも重要な仕事の一つだ」と答えました。
 このたびの監視委員会と県の発表は、水需要の伸びが鈍っているため本格的な事業の着手を当分中止するというものです。私たちは、景気の回復などにより、2年後に追原ダムの工事が着工されること危惧しています。
 現在、地球規模で環境の悪化が表面化しています。失われた自然は二度と戻らないことを常に念頭において、干葉県に残された貴重な自然を、住民と行政が一体になって守っていきたいものです。  七里川はなめ床といわれるやわらかい平らな川床を持っています。この夏、この川の中を車で走ったタイヤの跡をみつけました。鮎の大事な餌になる水苔がはがれてしまっていました。産業廃棄物(主に廃材)、空缶などを捨てていく人もいます。
 この川には、鮎やハヤなどとともに、絶滅危惧種に指定されたギバチもたくさん住んでいます。清流を守るために行政の力を借りて、ぜひこの地域の自然環境を保護し、ここがどんなに貴重な所であるかを人々に知らせていけたら、と思いました。
 評価監視委員会の委員長、黒坂正則先生はじめ委員のかたがたにぜひ七里川渓谷においでいただき、私たちの愛してやまない小櫃川の源流域の素晴らしさを知っていただきたいと、切に思います。

(小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会・北澤真理子) 



千葉県知事あての要請書



要 請 書


1999年9月8日

 千葉県知事 沼 田 武 様

小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会
 代表 佐野今朝雄


追原ダム建設事業について次のことを要請します。

一、 去る8月4日に開かれた「県事業評価監視委員会」の、追原ダム建設計画に関する意見を尊重し、同事業の全面中止を求めます。

一、 本日提出の「追原宣言」賛同署名(第2次集約分)にもあるように、追原ダム建設計画と国道465号線ならびに県道市原〜天津小湊線の改良事業については、切り離して考えること。その上で、地元住民の道路改良の要望を考慮し、七里川・追原周辺の自然に影響のない路線や工法を探求することを求めます。

一、 私たちは、「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」を1998年11月8日に結成し、名実ともに同流域全体の自然保全につとめてきました。この運動の積み重ねの中より、とくに次の諸点について要望します。

  1. 七里川、追原の貴重な自然と先人たちの生活遺蹟を、県民に広く知らせること。

  2. 民間団体等による自然観察会やクリーンハイク(清掃ハイキング)、シンポジウムや写真展などに、財政補助や施設提供等の助成をすること。

  3. 付近一帯の環境を保全する点で、次のことに努めること。
     (1)大型車の通行規制、七里川の川床への車の乗り入れ禁止をすること。
     (2)建設廃材等の不法投棄物を撤去すること。
     (3)“車上ねらい”等の防犯につとめること。

  4. 笹川上流の片倉ダム流域部にある「君津エースゴルフ場」の造成途中での放置は看過できません。認可条件を厳正に適用し、県土の保全につとめること。




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