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千葉の環境をめぐる出来事(1999年)

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《1月》
●1月17日
 千葉県自然保護連合は千葉市内で、1999年度総会と「房総の自然と環境を考えるシンポジウム」を開催した。シンポには、県内各地で環境問題や自然保護にとりくんでいる住民グループの代表ら40人が参加した。

●1月18日
 県内各市町村で1997年度に埋め立て処分された一般廃棄物のうち、ダイオキシン類を含む焼却灰のうち、ダイオキシン類を含む焼却灰の総量が、前年度より約3万2000トン多い約24万トンになったことが、県環境部のまとめで分かった。

●1月20日
 関宿町木ヶ瀬の産業廃棄物の中間処理施設(大盛興業関宿工場)で爆発事故があり、廃油の詰まったドラム缶が1時間半も燃え続けた。この事故で男性従業員1人が死亡、作業員1人が重傷を負った。

●1月21日
 習志野市の谷津干潟で、めったに観察されないヤマシギが姿を見せた。ヤマシギは海水面には降りないため、谷津干潟で見られるのは珍しいという。

●1月22日
 三番瀬の埋め立て計画に関連し、浦安市の松崎秀樹市長が県庁を訪問。沼田知事と伊藤卓雄企業庁長あてに、三番瀬の保全を訴える内容の要望書を提出した。要望書は、三番瀬の自然環境の重要性を強調。埋め立て計画について、同市の住環境にも配慮し、市民が親しめるような水辺とするよう求めている。

●1月22日
 千葉市中央区生実町の井戸水から最高値で国の環境基準(1リットルあたり0.05ミリグラム)の4.2倍にあたる0.21ミリグラムの発ガン性物質「六価クロム」が検出されていたことが明らかになった。同地区では、1982(昭和57)年に飲料用の地下水から「黄色い水」が出て六価クロム汚染が一気に表面化、公費負担で県営水道が敷設される一方、住民の代表が汚染源とされる企業を相手取り補償を求めて今なお係争中。

●1月25日
 千葉市中央区生実町の六価クロム地下水汚染の本年度調査で、新たに12カ所の井戸水から国の環境基準を上回る発がん性物質「六価クロム」が検出され、最高値は環境基準の14.6倍にあたる0.73ミリグラムだったことが明らかになった。

●1月25日
 千葉県は、三番瀬の埋め立て計画について、「(鳥類の)採餌場のほとんどが消失、生息する個体数は全体として減少、埋め立ては三番瀬の自然にたいする影響が大きい」との調査結果報告を発表した。

●1月30日
 柏市が市南部に建設を計画している第二清掃工場の環境アセスメント委員会が開かれ、市がまとめたアセスの最終報告書を了承した。

●1月30日
 「三番瀬を守る会」(田久保晴孝会長)は、県の財政から埋め立て問題を考える学習会を船橋市内で開いた。20人ほどが参加し、県職員労働組合の鈴木正彦委員長が「開発型県政から福祉重視の県政に転換を」と題して講演した。埋め立て事業を担当する県企業庁について、鈴木委員長は「不況の深刻化により、既存の埋め立て地への企業進出が思うように進んでいない。資金保有残高は年々落ち込む一方で、借金は逆に増え続けている。こうした企業庁の会計は結果的に県の一般会計も圧迫する」と述べた。さらに「幕張メッセや東京横断道路など大規模な開発に、県税を湯水のように使ってきたツケが現在の財政破綻を招いた。県民が望む高齢化社会への対策などの分野に税金を投入すべきだ」と指摘。県が見直している三番瀬埋め立て計画は「財政を立て直すためにもいったん凍結すべきだ」と結論づけた。


《2月》
●2月4日
 三番瀬の埋め立て計画にからんで日本自然保護協会(沼田真会長)は、計画の撤回も含めて根本的に見直し、三番瀬の環境を保全するよう求める意見書を、沼田知事あてに提出した。

●2月4日
 2005年の開通をめざしている東京・秋葉原−茨城県つくば市を結ぶ常磐新線の建設工事が、1999年早々からまず流山市南流山で始まっている。4日には、江戸川に架ける鉄橋建設工事の安全祈願祭が流山市側で行われた。

●2月4日
 大網白里町九十根地区にNTT移動通信網(NTTドコモ)が前年暮れから携帯電話の中継無線基地局の建設工事をはじめ、1月末に高さ50メートルの鉄塔を建てた問題で、地区住民の有志が、この鉄塔に対し「電磁波の健康問題が心配」などとして建設反対運動に乗り出した。

●2月5日
 三番瀬埋め立て問題で、日本野鳥の会と世界自然保護基金日本委員会(WWFジャパン)、日本自然保護協会の3団体が、埋め立て計画を根本的に見直すよう県に申し入れた。

●2月8日
 三番瀬の埋め立て計画を見直すために県が学識者らに委託した「計画策定懇談会」が千葉市内であり、県が示した見直し案の「たたき台」をめぐり話し合った。県が「必要だ」「検討中」とした用地について、委員からは「根拠が乏しい」「具体性がない」との声があがった。

●2月15日
 環境庁長官が三番瀬を視察した。

●2月17日
 銚子市天王台の採石場跡地に不法投棄されたゴミの山が1カ月以上もくすぶり続け、周辺は異様な臭いが漂っている。

●2月19日
 全国的に干潟の保全運動を展開する市民団体「日本湿地ネットワーク」(山下弘文代表)は、三番瀬埋め立て計画の中止を求める要望書を沼田知事あてに提出した。
 要望書によると、県の補足調査結果報告書によって計画が三番瀬に与える影響が明確になり、環境庁長官も三番瀬の現地視察で「保全したい」と述べたことは、日本の環境行政を見直す大きなきっかけだとして、ネットワークは、三番瀬の開発中止と計画の根本的な見直しを求めている。
 諫早湾の干拓問題にとりくんだ山下代表は、会見で「(計画の段階で環境への影響を予測し、公表するなど)千葉県は(保全の)見本のような形で進んでいる。ただ実際には、予測した以上の大きな影響が必ず出る」と語った。

●2月20日
 三番瀬の埋め立て問題をめぐり、「千葉の干潟を守る会」など県内の市民団体が2月20日、全国各地から干潟保護団体のメンバーらを招いて、「諫早、藤前、三番瀬、いま干潟を守るシンポジウム」を船橋市の勤労市民センターで開いた。三番瀬の埋め立て中止を求めて、全国の市民団体が蓮携していくことを確認した。会場を訪れた環境庁自然保護局の小林光計画課長は、改めて三番瀬の保全を強調した。

●2月20日
 三番瀬の埋め立て問題について、作家の椎名誠さんの講演会(三番瀬を守る会主催)が船橋市民文化ホールであった。
 千葉市幕張で少年時代を過ごした椎名さんは、「あのころの幕張の海には干潟が広がり、カニやハマグリなど、おびただしい数の命があった。だけど、いまは埋め立てで高層ビルに一変してしまった。心からふるさとが消えたような感じだ」としたうえで、「当時は闘うための知恵がなかった。だから三番瀬の問題には黙っていられない。埋め立てを許すかどうかは、日本のインテリジェンスの問題ですよ」と話した。

●2月22日
 小櫃川源流城の自然を守り育むために活動している「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」(佐野今朝雄代表)は、東京大学演習林に対し、千葉県内随一の豊かな自然環境や渓谷美を形成している七里川渓谷でのダム建設計画のために、千葉県民の宝ともいうべき千葉演習林を譲渡しないことを要請した。  詳細はこちら

●2月24日
 三番瀬埋め立て計画の見直し作業について、沼田知事は、2月定例県議会の代表質問で、「具体的な計画案のとりまとめは新年度になる見通し。計画策定懇談会の意見を聞き、できるだけ早い時期に作成したい」と答弁した。

●2月25日
 三番瀬埋め立て計画で、沼田知事は、「人工干潟でも自然として機能する」と述べるとともに、第二湾岸道路建設が県にとって重要であることを強調。「浦安地区を通る部分はトンネルか半地下方式が望ましい」との考えを示した。
●2月25日
 市町村のゴミ処理施設について、島崎實副知事は県議会で、市町村が設置し、稼働中の焼却炉114炉のうち、40炉が2002年12月から適用される廃棄物処理施設の維持管理基準に適合できていない状況にあることを明らかにした。

●2月26日
 ラムサール条約に登録されている「谷津干潟」を抱える習志野市は、県が計画している三番瀬の埋め立て事業が、約2キロ離れた谷津干潟にも悪影響を与える可能性があるとして、三番瀬の生態系を維持し、埋め立て事業で谷津干潟が悪影響を受けないよう求める要望書を県に提出した。同市は、谷津干潟が三番瀬と密接不可分の関係にあると指摘している。同市が三番瀬問題で県に要望するのは初めて。

●2月26日
 千葉県自然保護連合は、三番瀬埋め立て問題に関する要望と、1月11日付け千葉日報の記事に関する反論を記載した要請書を沼田知事あてに提出した。埋め立て問題については、第2回計画策定懇談会(2月8日開催)において県が示した縮小案は、補足調査の結果を踏まえて検討されたものではなく、大まかに言えば、単に藤前干潟の問題で否定された「ゴミ処分場確保のための立て」用地を引っ込めただけの縮小案であり、このような安易なプランを公式な縮小案と認めるわけにはいかない、としている。千葉日報記事への反論は、「船橋海浜公園前の干潟は1982年に造成されたものだが、自然が機能している。千葉県の場合は造成というよりも(干潟の)復元」という県の認識について反論し、撤回を求めている。

●2月26日
 柏市の第二清掃工場建設に反対している地元住民9団体の会は、市役所前で、市が「不備・不適切」と認めた用地選定に関する同会への説明会を見送ったことなどに抗議する集会を開いた。

●2月27日
 千葉県内の音楽家や市民団体による「“三番瀬”春を呼ぶコンサート」が、船橋市勤労市民センターホールで開かれ、三番瀬を埋め立てから守ろうと歌声を響かせた。

●2月28日
 県内の産廃・残土問題をかかえる住民が連携し、交流を深めるためのシンポジウムが、海上町の県立海上キャンプ場体育館で開かれた。
 地元の市民グループ「産廃反対住民連絡会」の主催によるもので、木更津市や市原市など11の住民団体のメンバーら約200人が参加した。
 午前中に近くの産廃不法投棄現場や既設の産廃焼却場などを見学した後、午後からシンポジウムが行われ、地元を代表して江波戸邦夫海上町議会議長が「住民運動は昨年8月の住民投票の時に比べ連携が薄れつつあるが、今後とも頑張りたい」とあいさつ。
 続いて、銚子市、海上町、東庄町連名のメッセージが紹介されてから各住民団体の実情が報告され、最後に「県内各地の処分場計画を地元の意見尊重の立場で見直そう」などとする宣言を採択した。

●2月28日
 三番瀬の埋め立て問題をめぐり、周辺自治体のゴミ処分問題を考えるシンポジウム「私のゴミはどこへ行くの? 県西部9市2町のゴミ減量化と三番瀬」(主催・三番瀬Do会議)が、市川市内で開かれた。県内外から60人以上が参加し、三番瀬の保全の重要性と、埋め立て地にゴミ処分場を建設しなければならない現状を改善するため、ゴミの減量について話し合った。


《3月》
●3月1日
 2月15日に三番瀬を視察した真鍋賢二環境庁長官は参院予算委員会で、三番瀬について「立派な干潟を保存したい」とのべた。岩佐恵美議員(共産党)の質問に答えたもの。

●3月5日
 三番瀬の埋め立て問題で県は、埋め立て計画を見直すために学識者らに委託して2月に開いた「計画策定懇談会」の議事内容の要旨を公開した。当初の予定より大幅に遅れ、委員の一部や市民団体から「約束違反だ」などと非難の声があがっている。

●3月5日
 国の「ビーチ利用促進モデル地区」に指定された館山市北条海岸周辺で、県が海岸環境整備事業として進めている護岸工事が、地元住民からの「工事が行われると海岸の景観が損なわれる」という反対で、中断している。

●3月6日
 三番瀬の埋め立て問題で、「三番瀬フォーラム」(安達宏之事務局長)などの市民団体が県企業庁に要望書を提出した。要望書では、三番瀬の埋め立て地に計画されている終末下水処理場建設の再検討や、すでに県内で埋め立てられた湾岸部の湿地を復元することなどを求めている。

●3月6日
 三番瀬の埋め立てを計画している県は、市民団体、漁協、研究者を交えた公開のシンポジウムを市川市塩浜市民体育館で開いた。それぞれの立場から活発な意見が出たが、埋め立ての是非をめぐる議論は平行線をたどった。開発計画について、県が市民団体を加えたシンポを主催したのは極めて異例。

●3月6日
 浦安市が同市弁天の旧清掃工場跡地で行った土壌調査で、高濃度のダイオキシン類が測定されていたことが分かった。

●3月6日
 「県内の森林の担う役割は、お金にすると、毎年1ヘクタール当たり約300万円、全体で4883億円に相当する」−。県は、森林の保水力や土砂災害の防止能力などを、ダムや防護壁の建設・維持費などに換算した「経済的評価」をまとめた。

●3月8日
 公共事業の見直しを訴える国会議員からなる「公共事業チェックを実現する議員の会」(武村正義会長、52人)は、埋め立てが計画されている東京湾の干潟と浅瀬「三番瀬」を視察した。
 国会議員が超党派で三番瀬を訪れるのは初めて。議員の会は、諫早湾干潟(長崎県)や藤前干潟(愛知県)の問題に取り組んできており、今後は三番瀬の埋め立て問題についても国政の場で議論を活発化させる考えだ。

●3月8日
 産業廃棄物の不法投棄を未然に防止しようと、県産業廃棄物課と県警生活経済課は、合同の監視活動チーム「グリーンアクションチーム(GAT)=通称グリーンキャップ=を発足させた。両者の連携をより密にした形で、早期発見に重点を置いた監視活動を行うことにしたもの。活動時、同チームのメンバーが緑の帽子をかぶって行動することから、通称を「グリーンキャップ」とした。

●3月9日
 衆議院で、佐藤謙一郎議員(民主党)の質問に対して、環境庁長官が三番瀬の保全は重要と答弁した。

●3月10日
 三番瀬の埋め立て問題で建設省は、埋め立て理由の一つとなっている第二東京湾岸道路の用地確保はルート変更やトンネルなどでの建設も可能であり、埋め立ては必要としないとの考えを明らかにした。

●3月10日
 東京湾最大の自然干潟で、千葉県による埋め立てが計画されている三番瀬にこの冬、極東地域に100羽前後しか生息していない渡り鳥のミヤコドリが約30羽飛来したことが、日本各地の湿地や干潟の保護団体でつくる「日本湿地ネットワーク」の調査でわかった。

●3月10日
 三番瀬の埋め立て計画について、市川市の千葉光行市長は、朝日新聞社の取材に対し、「市川市側の埋め立ては150ヘクタール程度に縮小すべきだ」との考えを明らかにした。

●3月11日
 三番瀬の埋め立て問題で、県が3月中の開催を予定していた学識経験者による「計画策定懇談会」が、4月に延期されることになった。
 県は、2月の第2回会合で、船橋沖を埋め立てる京葉港2期地区計画について「土地利用の必要性の根拠が乏しい」などと指摘されたことを受けて、次回に具体的な見直し案を示すことになっていた。
 しかし、埋め立て理由の一つとする第2東京湾岸道路用地について建設省が「必ずしも埋め立てを必要としない」との見解を示すなど、具体的な土地利用の必要性の検討が難航しているため延期することになった。

●3月12日
 三番瀬の埋め立て問題をめぐり、市川市の千葉光行市長が「ヘドロ化した猫実川河口の周辺は埋め立てるべきだ」との考えを示したことについて、市民団体「千葉の干潟を守る会」など5団体は3月12日、「猫実川河口の海域も生態系に重要な役割を果たしている」として、市川市に埋め立てに慎重な考え方を取るよう申し入れた。

●3月13日
 三番瀬の埋め立て計画をめぐり、市川市は広報紙で、県が進めている計画見直し作業の状況を特集で紹介し、ヘドロがたい積した部分の埋め立ては環境改善に有効との考えを示唆、計画に関する要望や意見を市民に求めた。

●3月13日
 松戸市の田中利勝さん、千代さん夫妻が毎月1回発行する環境ミニコミ紙「自然通信」が100号を迎えた。

●3月15日
 東京湾の三番瀬埋め立て問題で、沼田知事は記者会見で、埋め立て地に計画されている第二東京湾岸道路(第二湾岸道)の用地確保の方法について「埋め立て地にこだわる必要はない」との考えを明らかにした。第二湾岸道の用地確保には「埋め立てが必要」としていた方針を転換したことになる。

●3月19日
 三番瀬の埋め立て問題をめぐり、市川市の千葉光行市長が市民に意見を募っていたのに対して、19日までの1週間で14通の手紙やファクスが届いた。
 千葉市長は3月13日付けの市の広報で「海を再生させる埋め立て」との基本姿勢を打ち出し、同時に市民に意見を募った。
 同市都市整備課によると、「埋め立てによって市民が憩える場所ができる」「漁業の再生につながると思う」といった賛成の意見、「問題とされている猫実川のヘドロも、三番瀬全体の中の一つの役割になっているのでは」「埋め立ては、慎重に判断してほしい」などの反対の意見があるという。

●3月19日
 「ごみが山になる前に」を合言葉に、県と県警が産業廃棄物の不法投棄を未然に防ぐための合同プロジェクトチームをつくった。

●3月22日
 船橋市や習志野市、首都圏に住むアーティストが、三番瀬の保全をテーマに作品展を開催。会場はJR津田沼駅前の丸善ギャラリー。

●3月24日
 千葉市は、川や海の環境を改善するために「市水環境保全計画」を策定した。水質だけでなく水際の環境や水中の生きものも視野に入れ、総合的にとりくむ指針と位置づけている。

●3月25日
 東京湾に残る干潟と浅瀬「三番瀬」の埋め立て計画について、埋め立て面積を縮小した場合でも、シギ・チドリ類のえさ場はほとんどが消滅してしまうとの環境影響予測を、県がまとめていることがわかった。

●3月29日
 家庭ごみを燃やす自治体のごみ処理施設から排出されるダイオキシンを減らすため、県は、市町村がブロックごとに処理施設を共有する「ごみ処理広域化計画」を明らかにした。55ある施設を、今後9年間で40に減らす。排ガス中のダイオキシンも県全体で10分の1程度になると見込むが、人口の多い地域では施設数が逆に増えるところもある。

●3月29日
 渡り鳥のシギやチドリが行き来する縁で前年、オーストラリア・ブリスベーン市と湿地提携を結んだ習志野市は、提携の目標である湿地の保全と渡り鳥の保護を推進するため、2004年まで5年間の行動計画に調印した。渡り鳥の飛来調査や情報交換、子どもたちの交流などを進める。

●3月31日
 市原市の丘陵地域の大規模開発をめざす「市津緑の街」計画に対し県は、都市計画法による開発許可を出した。1996年に県が打ち出した「千葉・市原丘陵新都市整備構想」に基づいた、民間事業者による初の開発が動き出すことになる。開発事業者は、ゼネコンのフジタなどが出資する「市津開発」。同市犬成地区など5地区にまたがる173ヘクタールを開発し、2006年までに共同研究施設や戸建て住宅、集合住宅などを建設する。

●3月31日
 国会議員からなる「公共事業チェックを実現する議員の会」が三番瀬問題のヒアリングを行った。環境庁と千葉の干潟を守る会などが出席(千葉県は欠席)。


《4月》
●4月5日
 厚生省が公表した産業廃棄物焼却場の排気中ダイオキシン濃度調査結果で、県内では調査対象の122施設のうち、前年12月1日現在の集計で1施設が排出基準値(1立方メートル中80ナノ・グラム)を超えていた。なお、調査対象の施設の名称、所在地は公表されない。

●4月7日
 1月に関宿町の産業廃棄物処理工場で従業員ら3人が死傷した爆発事故で、県警生活経済課と野田暑は、県知事の許可がない産廃も処分していたなどとして、この工場を持つ産業廃棄物処理会社「大盛興業」の社長ら幹部3人を、廃棄物処理法違反の疑いで逮捕した。

●4月7日
 解体業者などが集中している市原市福増地区で、野焼きのばい煙が原因とみられる「黒い雨」がひんぱんに降り、住民を不安に陥れていることが明らかになった。畑などにたまった雨水をビンに採取すると半分近くがススで黒く沈殿、夕方になると息苦しく、せき込むなどの健康被害も出ている。

●4月13日
 「干潟まつり実行委員会」の藤平量郎代表らは、木更津市役所を訪れ、県内の3つの自然保護団体名で、小櫃川河口干潟の隣にある通称「畔戸の三万坪」に建設計画が進められている大温泉場について、「干潟や渡り鳥などへの悪影響が心配。建設するホテル三日月(本社・勝浦市)側と話し合いの場を設けてほしい」と市に要望した。3団体が、開発の問題点としてあげているのは、@雑排水の放流による干潟の汚染A地下水のくみ上げによる地盤沈下B夜間照明、騒音による野鳥への悪影響−など。そのうえで、ホテル側には「干潟の魚介類、底生動植物、鳥類、ノリ養殖などに与える影響について環境評価準備書を作成し、漁業関係機関や自然保護団体などに意見を聞く」「同市の地盤沈下対策に協力する」「干潟へ雑排水を放流しない」「野鳥の生息環境を保護するため、夜間照明・騒音防止策をとる」などを求めたい、としている。

●4月14日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」(大浜清代表)は、三番瀬埋め立て計画の全面中止を求める要望書を県に提出した。この日は、長崎県・諫早湾の干潟が国の干拓事業で閉め切られて丸2年にあたる「干潟を守る日」。この日を前後して、全国各地で展開される干潟保護運動の一環として、要望書は提出された。  要望書では、@三番瀬の埋め立ては環境破壊になるため、計画を全面的に中止するA下水処理場、第二東京湾岸道路、港湾施設は土地利用から除外し、人工干潟の造成はおこなわないB猫実川河口のヘドロは埋め立てるべきだという市川市の要望は受け入れないこと、などを求めている。

●4月14日
 県は、都市計画法に基づく「線引き」の見直しを県内30市町村の対象地域でいっせいに行うことにした。都市化を促進する市街化区域と開発の波をストップする市街化調整区域に土地を区分する都市計画作業で、10年ぶりの大がかりな見直し着手になる。

●4月15日
 埋め立て問題で揺れる三番瀬の一部、船橋海浜公園前の干潟で潮干狩りがはじまった。潮干狩りは6月18日まで、干潮時のみ開催。

●4月16日
 三番瀬の埋め立て地に県が計画している江戸川左岸流域下水道の終末処理場について、「千葉の干潟を守る会」などの市民団体は、三番瀬を埋め立てない下水処理方法を求める要望書を県に提出した。
 県の計画は、江戸川左岸の8市1町の下水を集めて、最下流の三番瀬の埋め立て地で処理するというもの。要望書では、流域を上中下に3分割して、それぞれに小規模な処理場を建設すれば、埋め立てで広大な用地を確保する必要はなくなると代替案を提示している。処理場用地として都市計画決定している場所の地権者にかつて建設を反対された問題についても、用地の取得をもう一度働きかけるよう求めている。さらに現計画は過大な人口予測に基づいているため、適正な下水道計画を策定し直すべきと求めている。

●4月16日
 銚子市と海上町、東庄町にまたがり計画されている産業廃棄物の民間最終処分場をめぐり、1市2町の住民ら120人は、処分場が計画されている県有地を産廃業者へ提供させないことを求める住民監査を県監査委員に請求した。

●4月17日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」のメンバー約30人は、東京・数寄屋橋の街頭で三番瀬埋め立て計画の撤回を訴えた。メンバーは、行き交う買い物客らに「9割の海岸線が埋め立てられた東京湾の自然を残して」と呼び掛け、三番瀬で採れた貝殻を配った。

●4月17日
 「三番瀬フォーラム」は、浦安市沖の三番瀬を歩こうと散策会を開いた。干潟を守る日の記念イベントとして同会浦安支部が企画したもので、約10人の参加者たちは、干潟で小生物を観察したり、記念撮影を行ったりした。

●4月17日
 市川市の「アースデー市川実行委員会」は、4月22日のアースデー(地球の日)」にちなみ、17、18日の両日、シンポジウム「水環境・資源環境・自然住宅」や「アースデーウォーキング・江戸川クリーンアップと水辺斜面林を歩く」などのイベントを開いた。今年のテーマは、「環境都市をめざして」。

●4月18日
 市原市は、前年度に実施したダイオキシン類などの環境調査結果を発表した。それによると、大気、土壌とも国の環境指針値を下回った。しかし、調査地点や回数、項目など課題も残されており、今年度は八幡、姉崎でも実施するほか、新たに水質や魚介類も対象にするなど、よりきめ細かな調査を実施することにしている。

●4月19日
 「市川緑の市民フォーラム」が市川市長あてに緊急要請書を提出した。内容は、翌日に予定の「三番瀬視察会」に関するもの。

●4月20日
 三番瀬の埋め立て問題をめぐり、市川市の千葉光行市長は、三番瀬の市川側を市民と船で視察した。視察後、市長は「市川二期の計画は、470ヘクタールがだめになって、白紙に戻ったと思っている。市民が触れられる海の再生を、県、環境庁に要望していく」としたうえで、今後も月に1回程度、市民参加型の視察会を開きたいとした。

●4月22日
 千葉海上保安部は、浦安市沖約1キロ付近の東京湾で、本年初めての赤潮の発生を確認した。発生期は平年並みという。赤潮は、植物性プランクトンが異常発生する現象で、富栄養化した海で水温が上昇する夏場を中心に起きる。

●4月26日
 千葉県自然保護連合は、建設省が「第二湾岸道は三番瀬の埋め立てを前提にしなくても可能である」と表明するなど、三番瀬埋め立て問題をめぐる事態が変化したなかで、あらためて県に対して埋め立て計画の中止を要請した。

●4月26日
 三番瀬埋め立て問題で、「三番瀬を守る署名ネットワーク」(大浜清代表)が、埋め立て計画の白紙撤回を求める約5万人分の署名を沼田武知事あてに提出した。署名の提出は昨年4月から3回目で、総数は約19万5000人分になった。

●4月26日
 前年8月に海上町で行われた本県初の住民投票で9割以上が設置に反対した産業廃棄物最終処分場について、県は4月26日までに、処分場の設置を不許可とする方針を固めた。  詳細はこちら

●4月27日
 県は、海上町の住民投票で98%が反対した産廃最終処分場の設置について、不許可処分とすることを事業者の「伸葉都市開発」(本社・千葉市中央区)に通知した。一方、県は同日、銚子市松岸に計画されている産廃最終処分場の設置については、市から要望があれば着工前に環境保全対策などの協定を結ぶことを条件に許可した。  詳細はこちら


《5月》
●5月1日
 柏市が“市民参加型の公園”として整備を進めていた「酒井根下田の森」が同市酒井根にオープンした。宅地化の波を免れてわずかに残されたシラカシの林をそのまま残す一方、自然観察地や手作り体験場などを整備し、身近に自然との触れ合いが楽しめるような公園をめざす。

●5月9日
 日本野鳥の会千葉県支部は、愛鳥週間(バードウイーク、10日〜16日)を前にして、千葉市・花見川周辺の里山で定例の探鳥会を行った。

●5月12日
 焼却灰や下水汚泥などを主原料としてセメントに再生産する全国初の「市原エコセメント工場」の起工式が、市原市八幡海岸通の建設地で行われた。国のエコタウン事業の一環として計画されながら、立地場所をめぐり住民から強い反対運動が起きるなど多くの曲折の末、約1年ぶりにこぎつけた着工。

●5月14日
 銚子市と海上、東庄両町にまたがる産業廃棄物処分場計画を県が不許可処分としたことに対し、業者の伸葉都市開発が厚生省に対して県の処分取り消しを求め審査請求をした。これに対し、産廃反対東総住民連絡会は、「住民投票で示され、住環境と農業を守りたいと願う住民の気持ちを無視し、利益だけを追求する業者の身勝手な行為だ」と厳しく抗議した。

●5月15日
 県環境部は、県内の一般大気中におけるダイオキシン類濃度の調査結果を発表した。調査は、県と千葉市など9市が県内38地点で2−4回、前年度に行ったもので、千葉市と船橋市、八千代市の一部で環境庁の定めた指針値を上回る数値が測定された。

●5月16日
 柏足の第二清掃工場建設問題で、予定地の逆井・南増尾地区に工場を核としたまちづくりを考える「緑住リフレッシュ拠点整備計画策定委員会」の第2回委員会が柏市役所で開かれた。

●5月18日
 三番瀬埋め立て計画の白紙撤回を求める署名が20万人を超えた。

●5月19日
 自社の産業廃棄物を扱う許可しかない銚子市内の処分場に、他業者から大量の廃プラスチックを受け入れて処分していたなどとして、警視庁と千葉県県警の合同捜査本部は、首都圏の産廃処分業者や運搬業者など計7業者の10人を、廃棄物処理法違反の疑いで逮捕した。

●5月20日
 三番瀬に、三重県島ヶ原村立島ヶ原中学校(生徒88人)の3年生6人が修学旅行に訪れた。市民団体「千葉の干潟を守る会」の牛野くみ子さんらが案内した。

●5月21日
 九十九里浜に生息する動植物を守るため、白子町でボランティア団体「九十九里浜を考える会」が設立された。九十九里浜では近年、レジャー目的での車両乗り入れが急増している。そこで、地域住民が海浜環境保全に立ち上がったもの。

●5月22日
 6月22日の「県環境影響評価条例(環境アセス条例)」施行を前に、環境アセスの手法や評価について環境保全の見地から意見を述べる第三者機関「県環境影響評価委員会」が発足した。

●5月23日
 銚子市西部地域において産業廃棄物処分場の集中立地や不法投棄で住民の不安が急速に高まっていること中、「産廃反対東総連絡会・銚子」は「産廃現地見学会と意見交流会」を開いた。

●5月26日
 県が建設を許可した銚子市松岸の産業廃棄物最終処分場をめぐり、周辺住民の代表は、厚生省に許可の取り消しなどを求め、行政不服審査を申し立てた。代表は「許可は遺憾だ。上級官庁に判断をお願いしたい」と話している。同処分場は八千代市の産廃業者が銚子市内に計画しており、プラスチックや金属くずなどを処分する安定型処分場で、県は4月に建設を許可した。  詳細はこちら

●5月27日
 三番瀬埋め立て問題をめぐり、市川市の千葉光行市長が「猫実川河口の周辺はヘドロ化している」などとして「海の再生につながる埋め立てがあるはずだ」との考えを示したことについて、世界自然保護基金日本委員会(WWFジャパン、サポーター約4万人)は、「環境保全は埋め立て以外の方法で検討すべきだ」とする要請書を、市川市長と44人の市議に郵送した。

●5月27日
 建設省が発注した渡良瀬遊水池(栃木県都賀郡)の堤防改築工事で、廃棄物として出た発がん性物質の石綿(アスベスト)を含むアスファルト約4500トンが、廃棄物処理法上、石綿の飛散防止措置が必要な「特別管理産業廃棄物」(特管産廃)に準じた扱いとされ、二重袋に包まれて収集・運搬されながら、搬入先の千葉市内の最終処分場では袋が破られてじかに埋め立てられていることが朝日新聞社の調べでわかった。周辺住民からは、石綿飛散による健康被害を心配する声が上がっている。

●5月27日
 強酸性の廃油入りドラム缶約1200本を千葉市内の草地や埼玉県に放置した無許可の産廃処分業者が、廃棄物処理法違反容疑で千葉、埼玉県警に逮捕された。この事件は、排出源の業者が代金の安い無許可業者に委託し、産廃が無造作に放置されるという不法投棄の構図を明らかにした。

●5月28日
 三番瀬の埋め立てを計画している県は、1月にまとめた三番瀬の環境調査結果の報告会を千葉市の幕張テクノガーデンで開いた。専門家や自治体職員ら約80人が参加した。報告会では、調査・分析にあたった専門委員会の望月賢二委員長が、「今回の調査は現状の水準からみて最高レベルのものだ。得られたデータに基づき、社会的に議論してほしい」と述べた。また、三番瀬の環境が歴史的にどのように変わってきたかについても、新たに調べる必要があるとの考えを示した。

●5月30日
 県立中央博物館と東邦大理学部は、カニやハゼ、野鳥などが生息する豊かな自然と触れ合う干潟観察会を三番瀬で開いた。約90人が参加した。

●5月30日
 千葉県野鳥の会は、三番瀬の海辺や鳥や浅瀬の生物を観察する「東京湾三番瀬探検隊」を開いた。約50人が参加した。初めて三番瀬にきた女性は、「お金をかけて埋めて、これらの生き物を殺すなんて。東京湾はヘドロの海になるんじゃないでしょうか」と語った。

●5月31日
 県が建設を許可した銚子市松岸の産業廃棄物最終処分場について、周辺住民の代表は、計画阻止のためにあらゆる措置・対策をとることなどを求める陳情書を銚子市議会議長に提出した。


《6月》
●6月1日
 船橋市は、三番瀬について、埋め立て地を大幅縮小し、大部分を保全するよう求める要望書を県に出した。藤代孝七市長は、「要望は県も了解してくれるはずだ」としている。一方、市川市もこの日に要望書を県に提出。現在の直立護岸は「市民が海に触れあえない」として、人工干潟の造成などを求めた。

●6月1日
 県が98年12月に条件付きで設置を許可した富津市田倉の産業廃棄物最終処分場計画について、計画に反対する住民らがつくる「天羽の水を守る会」が、許可撤回を求める要請書を住民353人の署名とともに県に提出した。

●6月1日
 発がん性物質の石綿(アスベスト)を含むアスファルトの廃棄物約4500トンが、千葉市花見川区犢橋町の処分場で、運搬の際には包んであった袋が破られ、そのままの状態で埋め立てられていた問題で、処分場の周辺住民らが、処分業者(本社・同市稲毛区)に埋め立て現場を公開するよう要望した。業者はその要望を受け入れ、6月12日に処分場の内部を公開することを決めた。

●6月1日
 市川市の千葉光行市長は、自然保護団体「WWFジャパン(世界自然保護基金日本委員会)」に対し、5月25日に同団体が同市長に郵送した三番瀬埋め立て問題への要請書に対する照会書を送った。

●6月1日
 「住みよい流山をつくる会」の市民14人は、2005年開業予定の常磐新線建設と一体的に行われようとしている常磐新線沿線巨大開発は、自治体財政を破たんさせ、自治体本来の役割の福祉や教育がおろそかにされるとし、巨大開発による市民犠牲・自然破壊に反対する立場から、「流山都市計画偉業新市街地地区一体型特定土地区画整理事業の事業計画及び施行規定案」にかんする要望書を県知事に提出した。

●6月3日
 県は、三番瀬埋め立て問題で、6月19日に学識経験者らによる「計画策定懇談会」を開くことを発表した。県は埋め立てを、下水処理場や道路整備に限り、面積を大幅に縮小する方針で、「策定懇」で具体的な面積を明らかにする。

●6月3日
 千葉市花見川区の「北清掃工場」周辺で市が行った地下水調査について、周辺の自治会が公開請求したものの市が非公開決定していた、井戸の所有者の名前や調査地点に関して、市情報公開審査会は、「条例の解釈及び運用を誤ったものではなく、取り消す必要はない」として市の決定を指示する答申を出した。自治会は、(1)井戸が特定できないと安全性を判断できない(2)公費を使って調査しているので公開すべき−などとして、2月に異議を申し立てていた。

●6月3日
 浦安市弁天の市営清掃工業跡地の地下から、ダイオキシンを含む大量の焼却灰が見つかった問題で、同市は8月をめどに撤去作業を始める方針を決めた。撤去とその後の土壌調査費として、6月議会に提案される今年度の補正予算案に計6億8900万円を計上した。

●6月7日
 絶滅のおそれのある県内の野生植物などを盛り込んだ「千葉県の保護上重要な野生生物−千葉県レッドデータブック−植物編」を県がまとめ、発表した。それによると、県内に生息する植物約3800種のうち、すでに絶滅した可能性の高い「消息不明・絶滅生物」は60種に達し、保護を必要とする植物も全体の約22%にあたる831種に上ることが分かった。県環境部では、99年度中に動物編も完成させたいとしている。

●6月8日
 三番瀬の埋め立て問題について、千葉県は、740ヘクタールを埋め立てる当初計画を約101ヘクタールに大幅縮小する見直し案を固めた。

●6月9日
 県企業庁が、三番瀬の埋め立て面積を当初計画の7分の1(約101ヘクタール)に縮小する見直し案を正式に発表した。

●6月10日
 「三番瀬を守る会」は、埋め立て見直し案について、「県の計画変更は計画撤回を求める県民世論に県が動かされた証拠」とし、「見直し案は環境、財政面から県民の利益にかなうものではない。今後も計画の白紙撤回を求めて全力を尽くす」との声明を出した。

●6月10日
 「三番瀬フォーラム」の小埜尾精一顧問は、埋め立て見直し案について、「私たちの考えにどれだけ合致するか分からないが、保全を主とする計画になった」、「面積と形状をみると、我々の対案と極めて類似したものになった」などと述べ、基本的に評価した。

●6月10日
 自然保護団体「WWFジャパン(世界自然保護基金日本委員会)」は、市川市の千葉光行市長からの照会書に対する回答を送った。内容は、「人工干潟は自然干潟に及ばない」などというもの。

●6月11日
 真鍋環境庁長官は、三番瀬埋め立て計画について、「人工干潟に有益性があると理解していない」と述べ、人工干潟造成に否定的な考え方を示した。

●6月11日
 真鍋環境庁長官の発言を受けて、県は、「人工干潟は埋め立ての代償措置ではなく、人の利用や漁業環境の向上に必要なものだ」として、引き続き人工干潟を検討していく姿勢を示した。

●6月12日
 発がん性物質の石綿(アスベスト)を含むアスファルトの廃棄物約4500トンが、千葉市花見川区犢橋町の処分場で、こん包されていた袋が破られ埋め立てられていた問題で、処分業者が住民に現場を公開した。

●6月12日
 「残土・廃棄物問題 東日本集会in千葉」が木更津市で2日間にわたって開かれた。初日の12日は千葉や神奈川などから約80人が参加。残土法制定やダイオキシン濃度公開など8項目の集会宣言を決め、実現に向け連携して運動することを確認した。

●6月12日
 銚子市、海上町、東庄町にまたがる産業廃棄物最終処分場の設置反対運動をすすめている産廃反対東総住民連絡会が、1年の3市町の行政・議会・住民による反対運動の経過と連絡会の活動の歩みをまとめた報告集「海上町住民投票と産廃反対運動」を刊行した。

●6月14日
 沼田県知事は、三番瀬埋め立ての縮小案に盛り込んだ人工干潟(海浜)について、「三番瀬に影響のない範囲で、海と触れ合える場所を造るためだ」と述べ、人工干潟の造成は埋め立てに伴う環境保全のための措置ではないとの考えを強調した。11日の真鍋環境庁長官の発言を受けたもの。

●6月16日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」は6月16日、三番瀬埋め立て計画について縮小ではなく白紙撤回するよう求める意見書を、県知事、県企業庁長、県環境会議座長、計画策定懇談会座長の4者に提出した。また、県自然保護連合と市川緑の市民フォーラムも見直し縮小案について意見書を知事に提出し、埋め立ての全面中止を求めた。

●6月16日
 発がん性物質の石綿を含むアスファルトの廃棄物が、千葉市花見川区犢橋町の処分場で、こん包されていた袋が破られ埋め立てられていた問題で、千葉労働基準監督署は、処分業者に経過を聞いた。「労働環境の観点から、さらに詳しい状況を把握するため」という。

●6月17日
 日本野鳥の会と世界自然保護基金日本委員会(WWFジャパン)、日本自然保護協会の3団体が、県の三番瀬埋め立て縮小案について、「101ヘクタールの埋め立ては過大で、土地利用の必要性について徹底的に検討をつくしたうえで、できるだけ埋め立てを回避すべき」とする意見書を、知事あてに提出した。
●6月17日
 船橋市の生嶋文昭助役は市議会で、三番瀬埋め立て縮小案について、「(県が同市に埋め立てを予定する)11ヘクタールは航路跡で水深6〜7メートルあり、堤防で海浜部(三番瀬)とは隔絶されている。埋め立てて緑地を整備することで、現在より望ましい状況になるのではないか」と、評価した。

●6月17日
 「三番瀬を守る会」が三番瀬埋め立て縮小案に関する緊急集会を船橋市の女性センターで開いた。WWWジャパン(世界自然保護基金日本委員会)の花輪伸一氏は、「人工干潟に過大な期待はできない」と人工干潟の問題点を指摘。「守る会」の田久保晴孝会長は、船橋側の11ヘクタールの埋め立て予定地は、稚魚のえさになる甲殻類が生息し、東京湾の浄化を支えていること場所になると説明した。

●6月17日
 長崎県の諫早湾干拓事業に反対してきた「諫早干潟緊急救済東京事務所」は、三番瀬埋め立て縮小案に対する意見書を、計画策定懇談会などの各委員と沼田知事に郵送した。

●6月18日
 ダイオキシン排出対策として、県が県内のごみ焼却施設55施設を対象に行った調査の結果がまとまった。それによると、現行の基準をクリアできなかったのは施設の運用面で問題があった大原町のクリーンセンターだけだったが、規制が大幅に強化される2000年時点の基準に照らし合わせると、半数以上の施設で対策を迫られることがわかった。

●6月18日
 真鍋環境庁長官は閣議後の記者会見で、千葉県が三番瀬埋め立て縮小案に盛り込んだ人工干潟造成案について、「私は(名古屋港の)藤前干潟に計画されたような人工干潟を想定していたが、言葉の理解に相違があった」と述べ、11日の会見での人工干潟に否定的な意見を事実上取り消した。

●6月18日
 市川市の千葉光行市長は市議会で、三番瀬埋め立て縮小案について、「(県の見直し案どおり)環境への影響が1〜2%ならば、受認の範囲内だ」などとして、事実上、縮小案を受け入れる意向を表明した。

●6月19日
 県が三番瀬の埋め立て計画を見直すために設置した計画策定懇談会が千葉市内のホテルで開かれ、埋め立て面積を7分の1以下の101ヘクタールに縮小する見直し案をめぐって初めて議論した。委員の大半からは「かなり思い切った見直しだ」と県の姿勢を評価する声が出たが、環境への影響や土地利用の必要性などには、疑問視する意見が相次いだ。県は、見直し案の環境影響予測を追加調査して、次回の策定懇に示すことを明らかにした。

●6月20日
 銚子市、海上町、東庄町にまたがる産廃最終処分場計画に県が不許可処分を発表し、業者が厚生省に行政不服審査請求を申し立てている中、同地域の住民でつくる産廃反対東総住民連絡会は海上町で住民集会を開き、処分場計画の完全撤退をめざしひきつづき奮闘する決意を固めあった。

●6月20日
 市民団体「環境パートナーシップちば」は、県が埋め立て計画を見直すために設置した学識者らによる計画策定懇談会の望月賢二委員らを招いて学習会を開いた。

●6月21日
 沼田知事は記者会見で、三番瀬埋め立て事業の採算性について、「採算性は非常に厳しいと聞いているが、最終的なとりまとめで検討したい」と述べ、埋め立て面積など詳細が固まった段階で採算性を改めて検討する考えを示した。

●6月21日
 松戸市は、市内の各地域で観察される個々の野鳥を点数で表し、地域の環境レベルを評価する調査をはじめた。

●6月23日
 真鍋賢二環境庁長官は三番瀬を視察し、第二湾岸道路の高架式での建設計画について、「残された自然はできるだけ生かす必要があり、利便性を求めるのなら、海底を通るようにしてほしい」との考えを示した。

●6月23日
 三番瀬埋め立てについて環境庁は、千葉県に対し、同県がまとめた埋め立て計画の縮小案を再検討するよう求めた。県は、下水処理場や第二湾岸道路などの用地を埋め立てで確保する方針だが、環境庁環境影響審査対策室長は、同庁を訪れた千葉県の担当者に対し、「三番瀬は東京湾に最後まで残った貴重な干潟で、それをつぶしてまで建設する必要があるのかどうか、再検討をしてほしい」を見直しを迫った。

●6月24日
 6月定例県議会の開会あいさつで沼田知事は、三番瀬埋め立ての見直し案について、「地元市などの要望を踏まえ、自然との共生を目指した見直しを行った。現計画に比べ、環境に与える影響は極めて小さくなると考えている」としたうえで、「今後は関係機関などと調整を行い、できるだけ早い時期に具体的な計画案をまとめたい」などと述べた。

●6月24日
 千葉県を所在地とする花と自然と日本の文化を愛する「環境を考える花の会」(FACE)は、三番瀬における不要な埋め立ては一切すべきではないという立場から、埋め立て計画の縮小案について意見書を県知事に提出した。意見書では、「直立護岸の解消や親水性のある空間のために、水のある土地(干潟)を埋め、新たに人工的に模した土地(干潟もどき)を造成することに、私達は拭い切れない疑問を抱かざるを得ません」などとしている。

●6月26日
 「三番瀬を守る会」は、「三番瀬を埋め立てから守ろう」と、船橋市のJR船橋駅前で署名宣伝行動を行った。署名を呼びかけると、とぎれなく市民が立ち寄り、署名待ちに並ぶほど。署名した一人は、「(埋め立てを)縮小すればすむものじゃない。三番瀬は全部残してほしい。わずかしか残っていない東京湾の干潟をなんで埋め立ててしまうのか。せっかくある自然をそのまま残すことが大切じゃないか」と話していた。

●6月27日
 県弁護士会の公害対策・環境保全委員会に所属する弁護士8人が、三番瀬の現地調査を行った。参加した弁護士の一人は、「5月のラムサール条約締約国会議で採択された干潟保全会議と国内法との整合性や、県がなお埋め立て計画を進めるのはいかがなものか、さらに検討したい」と語った。

●6月27日
 三番瀬埋め立て問題で、市民団体などが「国際干潟環境シンポジウム・三番瀬の未来に向き合う」を千葉市稲毛区の千葉大学で開いた。シンポジウムでは、「三番瀬」を東京湾という広域的な視点でとらえ保全、活用していく必要性を指摘する声が相次いだ。

●6月28日
 谷津干潟(習志野市)の環境保全活動に取り組む「谷津干潟環境保全交流会」は、三番瀬埋め立て計画の白紙撤回を求める要請書を県知事などに提出した。同交流会は、埋め立ては「谷津干潟に致命的な危機をもたらす」として、周辺の干潟保全のためにも計画の見直しを求めている。同交流会には、「千葉県野鳥の会」や「谷津干潟愛護研究会」など9つの市民団体が参加している。

●6月28日
 三番瀬埋め立て問題で「三番瀬を守る会」は、環境庁に対して、同庁が三番瀬保全のためにイニシアチブをとるよう申し入れた。同庁として独自に調査を行うことや、三番瀬をラムサール条約に登録するよう関係機関に働きかけることなどを求めたもの。

●6月29日
 「三番瀬Do会議」は、三番瀬埋め立て計画の財政的裏付けの公表などを県知事に要望した。

●6月30日
 三番瀬埋め立て問題で沼田知事は、第二東京湾岸道路について、従来の高架方式に加え、地下トンネル方式を含めて幅広く検討する方針を明らかにした。県議会で成尾政美(自民)の質問に答えたもの。

●6月30日
 絶滅のおそれのあるオオタカが生息する流山市の「市野谷の森」(約50ヘクタール)を保全する県の都市公園事業について、島崎副知事は、6月定例県議会の代表質問で「本年度中に都市計画決定するとともに、平成12年度以降速やかに事業化を図る」と述べた。成尾政美氏(自民)の質問に答えたもの。


《7月》
●7月1日
 三番瀬埋め立て予定地に計画されている下水処理場について、小松実(共産)は県議会代表質問で、県が当初建設を計画していた市川市行徳周辺で同市内などの業者がゴルフ場建設を計画し、約13ヘクタールの土地を買収していることを指摘し、「努力次第で(当初の土地に建設でき)解決できる。処理場を埋め立て地につくる必要はないのではないか」と質問した。これに対し島崎副知事は、「民間によるゴルフ場の開発計画があったが、実現できなかったという話は聞いている」と答えるにとどまった。

●7月3日
 「三番瀬フォーラム」は、県が設置した計画策定懇談会の風呂田利夫委員(東邦大理学部助教授)を招き、船橋市内で三番瀬埋め立て問題に関するセミナーを開いた。風呂田氏は、「県は生態系に与える影響予測をきちんと出して、それを超える開発のメリットがあることを証明しなければならない」などと述べた。

●7月3日
 農薬の空中散布に反対している長生村の農薬空中散布を考える会代表の磯村正夫氏は、同村植物防疫協会長の市原良夫村長に、人体や生物に悪影響を及ぼす空中散布をやめ、農薬依存型から環境保全型農業政策への転換を県に求める要望書と質問書を提出した。

●7月5日
 東総1市2町(銚子市、海上町、東庄町)の住民でつくる産廃反対東総住民連絡会は、同地域の産廃処分場問題で県の対応を追及した。

●7月7日
 (財)日本自然保護協会は、県がまとめた縮小案の環境影響予測に対する質問書を県企業庁に提出した。同協会は、県が「環境への影響は小さい」とする科学的根拠が示されていないと指摘している。質問書では、縮小案の環境の与える具体的なデータ説明を求めており、人工海浜・干潟を造成した場合の底生生物の生息状況や、魚類や鳥類への「影響は小さい」と判断した具体的な理由など6項目にわたっている。

●7月7日
 野田市の利根川運河近くの森に、絶滅のおそれのあるオオタカが生息していることが、日本野鳥の会県支部などの調査で確認され、同支部と地元の環境保護団体の計9団体は、県庁と野田市役所を訪れ、同市が予定する区画整理事業計画を見直し、周辺を含む調査と保護対策を求める要望書を、県知事と同市長あてに提出した。

●7月7日
 家屋解体現場の産業廃棄物を千葉市内で不法投棄したとして、県警生活経済課などは、暴力団組長ら3人を廃棄物処理法違反の疑いで逮捕した。

●7月8日
 三番瀬埋め立て地に建設が予定されている第2東京湾岸道路の工法について、県は、「第2東京湾岸道路を地下式にした場合、(東京外郭環状道路との)ジャンクションをつくるのは非常に難しい」と、地下化が技術的に困難との認識を示した。定例県議会の土木常任委員会で、小林宗平・道路計画課長が委員の質問に答えたもの。

●7月10日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」は船橋市内で第3回対策会議を開き、早期に30万人署名を達成させることや、「見直し案の白紙撤回を求める」知事への1万人はがき運動、新宿駅などでの街頭署名などの活動にとりくむことを決めた。

●7月12日
 各地の湿地保護団体が集まる「日本湿地ネットワーク」は、三番瀬や諫早湾干潟(長崎県)などの保全・再生を求める約12万6000人分の署名を環境庁に提出した。署名は、むだな公共事業などのために消滅の瀬戸際にある全国各地の干潟や湿地を守ろうと、同ネットワークが前年7月に呼びかけたもの。世界自然保護基金日本委員会や日本野鳥の会など多くの団体が協力してとりくんできた。

●7月12日
 木更津市海岸に広がる東京湾最大の自然干潟「小櫃川河口干潟」(盤洲干潟)に接する埋め立て地にホテル三日月(本社・勝浦市)が大浴場とホテルの建設計画を進めている問題で、千葉県自然保護連合は、多量の温排水が干潟や生物相、アサリ漁などに与える影響などについて環境影響評価を行うことなどを求める要望書を、千葉県自然保護課と木更津市、ホテル三日月に提出した。  関連ページ

●7月13日
 7月1日の小松実県議(共産)の県議会代表質問で三番瀬の保全にかんする再質問に副知事がまともに答えず、事実上の答弁回避ともいえる態度をとって紛糾した問題で、同党県議団は、議長と議会運営委員長にあてて、執行部答弁の改善をはかるよう求める申し入れをおこなった。

●7月14日
 市原市上高根地区で、住宅地近くにつくられる残土処分場の建設計画に町会をあげてとりくんでいる住民らが、業者への指導や対策、情報公開などを求め、県と交渉した。

●7月15日
 習志野市の「芝園新清掃工場」(仮称)建設工事の請負契約締結案を審議していた同市議会の調査特別委員会は、同案を反対9、賛成5の賛成少数で否決した。新清掃工場(直接溶融炉)建設をめぐって同市は、大手製鉄会社(新日鉄)との間に建設工事の請負契約を結ぶことを決め、開会中の臨時議会に提案した。しかし、大規模事業であることなどから、議会が調査特別委を設置した。3日間にわたった同特別委の審議では、「何でも燃やす直接溶融炉を採用するのは、リサイクル時代の流れに逆行している」「現在の市の財政力からすると過大投資だ」などの反対意見が続出し、6会派9人が反対にまわった。  関連ページ

●7月15日
 銚子市、海上町、東庄町にまたがる産廃最終処分場計画に県が不許可処分を発表し、業者が厚生省に行政不服審査請求を申し立てている問題で、産廃反対東総住民連絡会は、厚生省に業者の行政不服審査を却下するように求め、陳情と交渉を行った。

●7月15日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」などのメンバーは、湿地など自然の保護をテーマにした現代座公演「虹の立つ海」を船橋市内で開いた。

●7月19日
 習志野市議会は臨時市議会本会議で、同市の新清掃工場建設計画に伴う工事契約の締結議案を賛成少数で否決した。市の計画に対し、「財政難のおりに負担が大き過ぎる」「業者選定の経緯が不透明」「大規模焼却施設の建設よりゴミ減量化を優先すべきだ」などの反対意見が相次いだ。

●7月20日
 木更津市海岸に広がる東京湾最大の自然干潟「盤洲干潟」(小櫃川河口干潟)に接する埋め立て地に勝浦ホテル三日月(本社・勝浦市)がホテルの建設計画を進めている問題で、日本野鳥の会千葉県支部は、大浴場からの温排水によって干潟や野鳥への影響が懸念されるとして、ホテル側に話し合いが決着するまで建設の延期を求める文書を提出した。

●7月22日
 千葉県自然保護連合、プロジェクトとけ、環境問題市原連絡会の3団体は、千葉市と市原市にまたがる丘陵地域約1万ヘクタールの巨大開発(千葉・市原丘陵新都市開発)について、自然環境保全、財政問題、地域経済振興、まちづくりなどの観点から考えていこうと、「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」を結成するための準備会を千葉市民会館で開いた。連絡会の結成総会は、9月4日(土)に決まった。  関連ページ

●7月24日
 「市川緑の市民フォーラム」など10団体は、三番瀬埋め立て問題で、「三番瀬緊急シンポジウムin市川」を市川市教育会館で開いた。内容は、講演として、三番瀬を守る署名ネットワークの竹内壮一氏が「三番瀬埋め立て計画の経緯と縮小案の問題点」、外環反対連絡会の高柳俊暢氏が「市川市塩浜地区は今」、川崎環境プロジェクト21のメンバーが「埋め立て地を再び湿地へ−イタリアの湿地再生」。講演のあと、質疑応答をおこなった。  関連ページ

●7月25日
 木更津市海岸に広がる自然干潟「盤洲干潟」(小櫃川河口干潟)に接する埋め立て地に勝浦ホテル三日月(本社・勝浦市)がホテルの建設計画を進めている問題で、千葉県野鳥の会は、多量の地下水揚水や温排水放流が干潟の生態系に与える影響などについて環境影響評価を行うことなどを求める要望書を、勝浦ホテル三日月、千葉県知事、木更津市長に提出した。  関連ページ

●7月28日
 三番瀬を衆院環境委員会(北橋健治委員長)の委員13人が視察した。焦点の一つになっている三番瀬を通過する予定の第二東京湾岸道路について、北橋委員長は「景観のうえからも、地下トンネル構造が望ましい」として、千葉県が検討している高架方式に懸念を示した。

●7月29日
 習志野市の新清掃工場建設計画が市議会の反対で白紙撤回された問題で、同市環境部は、今後策定する新計画も直接溶融炉方式の清掃工場を建設する方向で検討に入った。

●7月30日
 トビケラの仲間で、東日本では絶滅したとみられていた「ミサキツノトビケラ」が光町の乾草沼(ひぐさぬま)で生息していることを、県立中央博物館の倉西良一上席研究員が確認した。東日本での報告は1911年以来、88年ぶりだという。

●7月31日
 三番瀬を守る署名ネットワークは、三番瀬埋め立て見直し案についての学習会を船橋市女性センターで開いた。学習会では、外環道路反対連絡会の高柳俊暢氏が「第二湾岸道路」を、千葉港湾関係労働組合協議会の小林清吉氏が「京葉港問題」について講演した。


《8月》
●8月3日
 東京湾で夏場に海水中の酸素が欠乏して魚介類などが生息できない“死の海域”となる「貧酸素水塊」が拡大傾向にあることが、環境庁の1995年の調査で明らかになった。増加した植物プランクトンや水底のヘドロが酸素を消費するのが原因とみられるが、埋め立てなどで干潟や砂浜がなくなり、自然の水質浄化機能が低下しているという研究者の指摘もある。

●8月4日
 国庫補助事業を受けて進めている県の土木部、都市部の公共事業の有効性について見直す「県事業評価監視委員会」が開かれ、君津市で計画中の追原ダムについて、今後2年間、用地買収など本格的な事業着手に入ることを当分中止するよう求める意見で一致した。県土木部は、この意見を受け入れ、2年後に再び、ダム計画の全面中止を視野に入れながら必要性を再検討することした。追原ダムは、県内最後のダム計画で、環境保護団体などから計画中止を求める声が強まっていた。ダム計画の見直しは県内初めて。  関連ページ

●8月7日
 産業廃棄物の不法投棄など環境犯罪に対する捜査を強化するため、県警は9月1日から、環境犯罪対策室を新設することにした。

●8月8日
 「三番瀬フォーラム」などは、街づくりと海とのかかわりを考える「海は生きる! 街はどこへ?」を船橋市中央公民館で開いた。埋め立て面積を大幅に縮小した県の市川二期・京葉港二期計画見直し案について初めて、県企業庁、船橋市、市川市、浦安市の地元3市、学識経験者らが意見を交換した。

●8月8日
 木更津市の小櫃川河口周辺に広がる盤洲干潟の環境保全のために活動する自然愛好家らでつくる「干潟祭り実行委員会」は、「第11回干潟まつり」を開いた。午前中はコアジサシ・カニの観察会を、午後からは同市北浜町の埋め立て地に大浴場を備えたホテルが建設されようとしている問題をめぐって「緊急シンポジウム」を開いた。同市民総合福祉会館で開いたシンポには、約300人の市民らが詰めかけ、干潟の保全を考えるとともに、盤洲干潟を守るための緊急アピール「木更津宣言」を採択した。  関連ページ

●8月9日
 木更津市北浜町の埋め立て地で、ホテル三日月が大浴場とホテルからなる「木更津スパ三日月」建設計画を進めている観光開発問題で、日本野鳥の会千葉県支部は、先の要望書に対するホテル側の回答は干潟の底生生物への配慮に欠けるとして、「県環境調整課の指導を受けるよう強く要望する」などと、再度、要望書を送った。

●8月10日
 2000年春の北千葉導水路稼働に伴い利根運河への注水がなくなってしまうことから、環境悪化が心配される同運河について、野田、柏、流山の3市は、従来通り運河に一定の水を流してもらおうと、建設省河川局に要望書を提出した。

●8月12日
 市原市海保の「加藤建材」の産業廃棄物置場から出火、畳や木くずなど約1万3000平方メートルを焼いた。「加藤建材」は無許可で産廃を野焼きしていたため、1997年以降、県や保健所から繰り返し野焼きの中止を行政指導されていた。

●8月13日
 木更津市中島に金田漁協が所有する約1万5000平方メートルの埋め立て地に日本中央競馬会(JRA)の馬券場外発売所(通称・ウインズ)を誘致しようという計画が持ち上がっていることが分かった。

●8月14日
 県公園緑地課は、流山市の「市野谷の森」の保全計画を発表した。絶滅のおそれがあるとされるオオタカを保護するため、県内の都市公園で初めて動植物の保護を目的とした立ち入り禁止区域を設ける。

●8月16日
 関東地方を中心とした大雨のため、建設省は、通常閉じている市川市の「行徳可動ぜき」を約1年ぶりに開放した。このため、三番瀬に大量の泥水と草木やビニール類のごみが流れ込み、漁業関係者から、アサリなど魚介類の大量死を懸念する声が上がりはじめた。

●8月20日
 木更津市など4市と新日鐵などが設立した第三セクター「かずさクリーンセンターシステム」は、木更津市に計画中の一般廃棄物処理施設の設置許可申請書を千葉県に提出した。

●8月30日
 市川市が環境基本計画の策定に市民の意見を反映させようと、公募した市民をメンバーにして設置した「市川市環境市民会議」は、市側に提出する提案書をまとめた。地球温暖化防止に向けた都市宣言や開発行為を規制できる自然保護条例の制定などを求めている。

●8月30日
 柏市は、可燃ごみとして処理している事業系プラスチックごみの一部を産業廃棄物に指定し、12月1日から市清掃工場への搬入を禁止する方針を固めた。

●8月31日
 日本道路公団は98年度決算を発表したが、東京湾アクアラインの収支は、高速道路料金収入が148億円だったのに対し、管理費が56億円、金利負担が412億円となり、建設コストを度外視しても、100円の収入に要する費用は316円(収支率316%)という極端な赤字を記録していることが明らかになった。

●8月31日
 県は、98年度の有害大気汚染物質の環境調査結果を発表した。それによると、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンは県内すべての調査地点で環境基準を下回ったものの、発がん性物質ベンゼンの年平均値は市川市鬼高で環境基準の2.7倍に達するなど、17地点のうち10地点で基準値を超えた。

●8月31日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」は、三番瀬埋め立て問題で千葉県と交渉を行った。これは、署名ネットが6月16日に提出した意見書に対して県の回答を求めて行ったもの。


《9月》
●9月1日
 三番瀬の埋め立て問題で、環境庁の委託を受けた民間調査会社が、計画地内を通過する第二東京湾岸道路のトンネル化は技術的に可能で、コストも必ずしも高いとはいえない、とする報告書をまとめていたことが分かった。地中化が可能となると、埋め立て理由の柱の一つが崩れることになり、県の計画見直し作業にも大きな影響がでることになる。

●9月2日
 三番瀬の埋め立て問題で、中野英昭県企業庁長は、庁内で開かれた記者との懇談会で、県の見直し案で示した101ヘクタールの縮小案は、「たたけるだけたたいて縮小したもの」と話し、規模としては最小限とする考えを示した。

●9月4日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」のメンバーは、東京・数寄屋橋の街頭で三番瀬埋め立て計画の白紙撤回を県に求める署名集めをおこなった。メンバーは、「三番瀬を子どもたちに残そう」と書かれた横断幕を掲げたり、カニや鳥をかたどった帽子をかぶったりして、行き交う買い物客らに署名を呼びかけたり、三番瀬で採れた貝殻を配った。

●9月4日
 千葉市と市原市にまたがる丘陵地域約1万ヘクタールの巨大開発(千葉・市原丘陵新都市開発)について、自然環境保全、財政問題、地域経済振興、まちづくりなどの観点から考えていこうと、「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」の設立総会が開かれた。千葉県自然保護連合、プロジェクトとけ、環境問題市原連絡会など5団体の呼びかけで開催されたもので、63人が参加。総会に先立ち、千葉県立中央博物館生態・環境研究部長で千葉大学大学院客員助教授の中村俊彦氏が「千葉県の自然の特徴と里山・谷津田の重要性」というテーマで記念講演をおこなった。総会では、「開発の内容を広く市民や県民に伝え、思いを同じくする個人・団体と交流しながら大きな輪をつくり、開発中止や環境保全のために、行政や関連団体に要請していくことを主眼に活動していく」などとする設立宣言を採択した。

●9月7日
 木更津市の小櫃川河口干潟に接する埋め立て地に勝浦ホテル三日月が温泉リゾートを建設する問題が、同市議会でとりあげられた。海宝康夫(新社会党)の質問に対し、市側は、排水や地盤沈下などについて影響を受ける恐れに言及し、干潟の保全に今後も配慮するようホテル側に申し入れていきたい、との姿勢を見せた。

●9月8日
 「県事業評価監視委員会」が、本格的な事業着手に入ることを当分中止するようにした君津市の追原ダムについて、「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」は事業の全面中止と周辺の自然保全の財政補助などを求める要請書を県に提出した。  関連ページ

●9月12日
 三番瀬埋め立て問題の焦点の一つになっている第二東京湾岸道路についてのシンポジウム「私たちの生活と第二湾岸道路」を、市民による実行委員会が浦安市内で開いた。第二湾岸ルートの沿線住民ら約150人が参加した。

●9月17日
 第二東京湾岸道路について、「市民シンポジウム『私たちの生活と第二湾岸道路』実行委員会」が、住民の生活環境に配慮したルートなどを検討するよう求める要望書を県に提出した。要望書では、三番瀬の埋め立て計画が決まれば第二湾岸道のルートも実質的に確定することになると指摘し、このルートでは「浦安では住宅地を貫通することになり、市民は生活環境への影響に不安を抱いている」などとしている。

●9月17日
 君津地域住民らでつくる自然保護団体「干潟祭り実行委員会」は、木更津市の小櫃川河口干潟(盤洲干潟)の保全し、河口域をラムサール条約登録湿地に指定するよう求める要望書を環境庁長官に提出した。

●9月19日
 木更津市の小櫃川河口干潟に接する埋め立て地に民間企業が温泉リゾートの建設を進めている問題で、千葉県弁護士会の「公害対策・環境保全委員会」が現地の干潟を視察した。

●9月19日
 「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」は、千葉市と市原市にまたがる丘陵地域約1万ヘクタールの巨大開発(千葉・市原丘陵新都市開発)の一部である「市津緑の街」と「市東第一」の開発予定地について自然観察会をおこなった。

●9月20日
 三番瀬の埋め立て問題で市民団体「三番瀬フォーラム」と「三番瀬研究会」は、県が埋め立て地先に造成する予定の人口干潟を検討するために学識者らで設けた「干潟等生態系検討委員会」の公開を求める要望書を県に提出した。

●9月20日
 木更津市の小櫃川河口干潟に接する埋め立て地に民間企業が温泉リゾートの建設を進めている問題で千葉大学自然保護研究会は、多量の温排水が干潟や生物相に与える影響などについて環境影響評価を行うことや、ホテル計画の再検討などを求める要望書を千葉県知事あてに提出した。  関連ページ

●9月21日
 三番瀬埋め立て問題で県は、人工干潟の造成面積を縮小する方針を固めた。この人工干潟は、埋め立て面積を当初計画の約7分の1(101ヘクタール)にする縮小案とあわせて、市川市側の埋め立て地の先に60−70ヘクタールの規模で計画された。

●9月23日
 「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」は、「小櫃川の流域の自然とくらしを考える写真展」を千葉大学けやき会館で開いた。これは、小櫃川流域の自然や清流、生態系が、ダム建設や産廃の処分場設置・不法投棄などによって危機に直面し、さらには、河口部に広がる盤洲干潟も大型温泉リゾート建設によって生態系が破壊されようとしている中、小櫃川流域の豊かな自然やそこに暮らす人々の暮らしなどを多くの県民に知ってもらおうと開かれた。  関連ページ


●9月24日
 市原市市津地区でゼネコンのフジタが計画している大規模宅地開発の「市津緑の街」開発事業について、「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」は、環境影響評価の不十分さに関する今後の行政対応を明らかにすることなどを求める要請書を県知事あてに提出した。  関連ページ

●9月25日
 三番瀬の保全など、全国で干潟保護運動に取り組んでいる市民団体は、25日夜、米国や韓国で湿地の保全や復元に取り組んでいる人をゲストに招いて、「国際湿地シンポジウム in 東京湾三番瀬」(日本湿地ネットワーク、実行委員会が主催)を市川市文化会館で開いた。参加者は約200人だった。実行委員長で「千葉の干潟を守る会」の大浜清代表が、「三番瀬保全をめぐる現状」というテーマで報告したあと、米国内務省魚類野生生物局のピーター・ベイさんがサンフランシスコ湾での湿地復元のとりくみ、つづいて行徳野鳥観察舎友の会の東良一さんが行徳鳥獣保護区(市川市)での自然復原のとりくみを話した。ディスカッションでは、韓国湿地保全連帯会議の金敬源、日本湿地ネットワークの柏木実の両氏が加わり、わずかに残された干潟をどう保全するか、そして破壊された湿地をどう復原するか、などについて意見を交わした。ピーター・ベイさんは、「1960年代に市民運動が盛り上がり、保全法が制定された。これによって、三番瀬埋め立て計画のようなものは作れなくなった。また、湿地回復も進んだが、環境の回復は予測が難しく、まだ実験の段階だ」と話した。また、韓国の金敬源さんは、「韓国の行政当局は日本の例をあげて干潟埋め立ての正当性を主張している。日本の動向が韓国の保全運動にも大きく影響する。韓国と日本で保護運動の連携をとってゆきたい」と話した。  関連ページ

●9月25日
 木更津市の小櫃川河口干潟に接する埋め立て地に民間企業が温泉リゾートの建設を進めている問題で、日本野鳥の会千葉県支部は、同市の金田海岸で海水の水質検査を実施した。

●9月30日
 9月県議会の代表質問で丸山慎一議員(共産)が三番瀬埋め立て問題をとりあげ、「(第二東京湾岸道路の建設方式が)高架化か地下化によっては埋め立て面積が変わるのではないか」と質問したのに対し、沼田知事は「高架、地下の両面から検討しているところだが、いずれの場合も三番瀬の最奥部の同じルートを想定していることから、埋め立て形状や面積に大きな影響はないものと考えている」と答えた。


《10月》
●10月2日
 「なくせ公害、守ろう地球問題」をスローガンに全国的な運動をすすめる公害・地球環境問題懇談会(公害・地球懇)は、三番瀬と東京外郭環状道路の建設予定地を調査し、「千葉の公害・環境を考える」シンポジウムを千葉市で開いた。

●10月4日
 三番瀬埋め立て問題で県は、「計画策定懇談会」の次回の会合が11月以降になるとの見通しを示した。

●10月4日
 市川市の江戸川河口で、建設省が大規模な河口堰の建設を計画していることがわかった。現在の「行徳可動堰」を、行徳橋とともに上流約170メートル地点に移して改築しようとするもの。改築予定地付近には、環境庁のレッドデータブックに指定され、絶滅が心配されているヒヌマイトトンボやトビハゼが生息しており、堰ができれば消滅する可能性がある。また、大雨時に毎秒7000立方メートルもの淡水を放水することにより、三番瀬で生息しているシオフキガイやアサリなどが壊滅する恐れもある。このため、自然保護団体などから「無謀な計画だ」との声がでている。

●10月5日
 富津市田倉で民間業者が計画している産業廃棄物最終処分場で、県が業者に同市と環境保全協定を結ぶことを条件に設置を許可していたが、業者側がこの条件を無視して着手したことが明らかになった。

●10月7日
 三番瀬埋め立て問題の焦点の一つになっている第二東京湾岸道路の構造について、県は、高架方式と地下トンネル方式をどちらか一方に絞る考えがないことを明らかにした。

●10月9日
 三番瀬を守る署名ネットワークは、東京・上野公園前で「三番瀬を埋め立てから守ろう」と宣伝署名行動をおこなった。

●10月12日
 横須賀市沖で実験中の超大型浮体式海洋構造物「メガフロート」を、浦安市が防災基地などに活用しようと、購入構想を明らかにしたことに対し、「三番瀬フォーラム」などは、浦安市長に対し「三番瀬、東京湾への負荷を考えているか、三番瀬の環境を保全しようとする立場として危ぐしている」などとする要望書を提出した。

●10月13日
 市川市の江戸川河口で、建設省が現在の「行徳可動堰」を行徳橋とともに上流約170メートル地点に移し、大規模なものに改築することを計画している問題で、「市川緑の市民フォーラム」など5つの自然保護団体は、10月13日、絶滅が心配されている生物に配慮が不十分などとして、計画の見直しを求める要望書を建設省江戸川工事事務所に提出した。要望書では、三番瀬に与える影響も大きいとして、環境影響調査の実施などを求めている。  関連ページ

●10月13日
 富津市田倉で、県の設置条件を満たしていないにもかかわらず、業者が産廃処分場設置の工事に着工しようとした問題で、県環境部は業者から事情を聴く「聴聞会」を開くことを決定した。

●10月13日
 柏市上利根の約100ヘクタールに及ぶ草地内の農道で、ごみの不法投棄が横行している問題で、同市清掃収集事務所や利根土地改良区が、夜間パトロールに乗りだした。現場は、いつのまにか市内でも最大規模の不法投棄場所になってしまったという。

●10月14日
 無届けで産業廃棄物を焼却する「野焼き」をやめるよう県産業廃棄物課と茂原保健所から再三にわたって指導を受けていた市原市内の建築会社が、野焼きが原因と思われる火災を起こしていたことが分かった。同市消防局によると、同市内で産廃の焼却が原因と思われる火災は、9月までで15件起きている。

●10月16日
 「三番瀬を守る会」は、JR船橋駅前で、「東京湾に残された浅瀬・干潟、三番瀬の保全を」と宣伝し、署名活動をおこなった。

●10月20日
 京葉臨海コンビナート地帯で、海を汚染する毒物や油の流失事故がひんぱつしていることが分かった。県環境部によると、企業の工場から海上に油などの有害物質が漏れた事故は、昨年は2件だったが、今年はすでに5件も発生した。長年にわたり海洋生物の研究を続けている千葉大学海洋バイオシステム研究センターの山口寿之教授は、「有害物質の流失事故は、海の生態系を崩す危険性がある。再生には時間がかかり、食物連鎖で人への影響も考えられる」と警鐘を鳴らしている。

●10月20日
 「三番瀬地域研究所」の発足会が開かれた。同研究所は、三番瀬保全運動を進めている人や、保全に関心をもっている人が自由にあつまり、情報交換や諸問題の分析、政策づくりをし、その成果を保全運動に役立てようとするもので、千葉県自然保護連合と千葉の干潟を守る会が呼びかけた。

●10月21日
 清水嘉与子環境庁長官は大臣就任後初めて三番瀬を視察し、県が計画している人工干潟について、「(ヘドロなどの)今の状況を考えると、ある程度はやらざるを得ない」と述べ、これまで環境庁が否定的だった三番瀬での人工干潟の造成に肯定的な姿勢を示した。  関連ページ

●10月22日
 清水嘉与子環境庁長官は記者会見で、県が三番瀬に計画している人工干潟造成について「従来、環境庁はできるだけやめてほしいと言っており、県の専門家の検討を待ちたい」と述べ、前日に三番瀬を視察した際に述べた「ある程度はやらざるを得ない」との肯定発言を撤回した。前日の肯定発言を「画期的だ」と受け止めていた県側は、困惑を隠しきれない様子だった。なお、前日の肯定発言については、多数の自然保護団体や自然保護愛好家などが環境庁長官に抗議や申し入れの文などを送った。  関連ページ(1)  関連ページ(2)

●10月23日
 館山市大井の砂利採取場跡地に地元業者組合が残土の搬入を申請している問題で、関係者の話し合いが行われ、地元住民が「地下に産廃が埋まっている」と懸念していることに対し、業者組合が自主的に費用を負担する形で県が土壌調査を行うことが決まった。

●10月23日
 県内にわずかに残る谷津田の保全を考える「ちば・谷津田フォーラム」が千葉市内で開かれた。各地の谷津田の現状や保全活動などについて報告や討論を行った後、谷津田保全のためにとりくむ組織として「ちば・谷津田フォーラム」を発足した。

●10月26日
 環境庁の橋本卓治政務次官は三番瀬を視察し、県が計画している人工干潟について、「現段階では肯定的でも否定的でもない。縮小も含めて、県は知恵を出してほしい。県の検討結果を待ってから、環境庁として判断していきたい」と述べ、これまでの環境庁の方針に変わりがないことを強調した。

●10月26日
 富津市田倉に計画されている産業廃棄物最終処分場の設置問題で、計画に反対している「天羽の水を守る会」は県環境部を訪れ、工事の中止を民間業者に指導するよう要請した。

●10月26日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」は、環境庁長官に対して、千葉県が第7回ラムサール条約締約国会議の決議を実行するよう求めることなどを記載した要望書を提出した。  関連ページ

●10月27日
 三番瀬埋め立て問題で県は、人工干潟の面積をこれまでの想定に比べて5分の1の縮小となる13ヘクタールで環境影響予測を行う方針を固め、11月以降に開かれる「海浜・干潟創出調査検討委員会」などに提示することにした。

●10月27日
 建設省江戸川工事事務所が市川市の江戸川放水路の「行徳可動堰」の改築を計画していることについて、「市川緑の市民フォーラム」など5つの自然保護団体は、県知事あてに、建設省に再検討を申し入れるよう求める要望書を提出した。  関連ページ

●10月30日
 柏・野田・流山の3市内を流れる利根運河沿いの里山に生息し、絶滅が心配されるオオタカを守ろうと、東葛地区の市民10団体が集まり、野田市内で「利根運河の生態系を守る会」の設立総会と記念講演会を開いた。


《11月》
●11月3日
 「三番瀬を守る会」などは、三番瀬で「文化の日の集い」をおこなった。

●11月5日
 「小櫃川源流域の自然を守り育む連絡会」は、「小櫃川の流域の自然とくらしを考える写真展」を木更津中央公民館で開いた。会員らが撮影会や自然観察会などで撮影した作品を展示したもので、開催は9日まで。

●11月7日
 君津地域の自然保護グループ「干潟まつり実行委員会」主催のクリーン作戦が、木更津市の小櫃川河口干潟で行われ、約110人が参加した。

●11月9日
 木更津市の小櫃川河口干潟に接する埋め立て地に「勝浦ホテル三日月」が温泉リゾートの建設を進めている問題で、県建築指導課は、同社が出していた温泉施設部分の建築確認申請の審査を終え、建築確認を通知した。

●11月9日
 県企業庁が、三番瀬の埋め立て構想に伴い、地元の市川市行徳漁協に金融機関を通じて約43億円の転業準備金を貸し付けていることが分かった。同庁は埋め立て構想に伴う「漁業補償」ではなく、あくまで「漁場環境の悪化による転業準備金」と説明しているが、埋め立て計画を前提にした事実上の漁業補償との指摘もでている。  関連ページ

●11月9日
 市川市の千葉光行市長は、三番瀬埋め立て計画の見直しを求める環境庁を15日に訪れ、清水嘉与子環境庁長官に要望書を提出する方針を明らかにした。要望書は、同市長が再三、繰り返してきた「海の再生」を目的とする埋め立て事業への理解を求める内容になる見通し。

●11月11日
 市川市の江戸川河口で、建設省が現在の「行徳可動堰」を行徳橋とともに上流に移し、大規模なものに改築することを計画している問題で、同省は、地元の住民、行政、自然保護団体などの関係者らが話し合う懇談会の第1回会合を市川市内で開いた。建設省側が「洪水対策として新たな堰を早急に建設すべきだ」と計画への理解を求めたのに対し、自然保護団体のメンバーなどからは「治水計画を見直すべきだ」「環境への影響を調べたデータを出してほしい」などといった疑問や要望が相次いだ。

●11月11日
 柏市の第二清掃工場建設問題で、市の地質調査に反対する南増尾桜ヶ丘町会と同町会の第2清掃工場対策委員会は、同調査に反対し、現地で座り込み抗議をした。

●11月15日
 市川市の千葉光行市長は、清水環境庁長官と沼田県知事あてに三番瀬埋め立てへの理解と協力を求める要望書を提出した。

●11月15日
 県は、条件付きで設置を許可した富津市内の産廃最終処分場について、設置業者の浅野商事が条件を満たさないまま着工したとして、設置許可を取り消す処分を行った。

●11月17日
 三番瀬埋め立て問題で、県は第4回計画策定懇談会を12月下旬に開く方針を固めた。

●11月17日
 三番瀬埋め立て計画にからみ、県企業庁が1982年、県信用漁業協同組合連合会(信漁連)から市川市行徳漁業協同組合に「転業準備資金」として約43億円を融資させたことは「事前漁業補償」に当たると指摘されている問題で、企業庁は、企業庁が最終的に肩代わりする融資の利息が1998年度末までに計約55億円にのぼっていることを明らかにした。  関連ページ

●11月21日
 三番瀬埋め立て計画に反対している市民団体と、計画を容認している市川市などが共同し、三番瀬の市川側で大規模なごみ拾いを行った。  関連ページ

●11月23日
 「千葉の干潟を守る会」などは、「夜の三番瀬探検隊」と題して、三番瀬の夜間観察会を開いた。

●11月26日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」「千葉の干潟を守る会」「三番瀬を守る会」「市川緑の市民フォーラム」の県内の4団体は、清水嘉与子環境庁長官に面会し、三番瀬の保全を求める意見書や要望書を手渡した。「署名ネット」と「千葉の干潟を守る会」は、千葉県に埋め立て計画の速断を行わせないよう適切な処置を要望すると同時に、三番瀬を契機として自然回復と都市・国土計画の再検討をすることを求めた。「三番瀬を守る会」は、埋め立て計画ばかりを先行させようとしている千葉県に対して、環境影響調査結果を尊重して時間をかけて検討するよう指導することなどを要望した。「市川緑の市民フォーラム」は、千葉光行・市川市長が清水環境庁長官あてに11月15日に提出した三番瀬埋め立てへの理解と協力を求める要望書について意見を述べた。意見書では、市川市長が強く実現を要望している人工干潟の造成などについて、「三番瀬の価値と保全の意義を本当の意味で理解していない愚かな行為」であるとし、「すでに東京湾の9割が埋め立てられている状況で、まず可能な限り埋め立てない基本方針が重要」などと述べている。  関連ページ

●11月27日
 船橋市は、三番瀬問題をテーマに、研究者や市民団体のメンバー、市幹部らを交えた公開シンポジウムを葛飾公民館で開いた。

●11月29日
 銚子市長塚町に建設予定の「北総技研」の産廃最終処分場に反対している「産廃反対東総住民連絡会」は、銚子市長と同市議会議長に「環境保全防止協定締結」を求める陳情書を署名簿を添えて提出した。

●11月30日
 県は第4回計画策定懇談会を12月25日に開くと発表した。委員の一部からは日程変更を求める意見も出たが、県は「どうしても年内に開きたい」として応じなかった。県は、この会合で「意見をとりまとめたい」としており、最終会合にする考えである。


《12月》
●12月2日
 市原市犬成の原野に約200万立方メートルの産廃が投棄されていることがわかった。ごみの山は隣接する山林や田まであふれ出し、周辺地主から苦情が相次いでいる。

●12月4日
 「千葉・市原丘陵開発と環境を考える連絡会」は、千葉市と市原市にまたがる大規模開発「千葉・市原丘陵開発」をめぐって、シンポジウム「大規模開発を問う〜オオタカ・谷津田の自然と財政破綻〜」を市原市の五井会館で開いた。約80人が参加した。開発予定地でオオタカを観察してきた自然観察指導員の田中義和氏は、スライドをつかって同地域の自然の豊かさと生物の生態を説明。県立中央博物館の長谷川雅美氏は、「里山・谷津田は多様な生き物が生息し、それを利用して人間が生活している」とのべ、谷津田や里山の重要性を強調した。千葉商科大学の竹内壮一教授は、大規模開発で自治体が借金を膨らませてきた経過を説明し、「今の価値基準は、里山や谷津田などよりもディズニーランドのような施設が上位にある。メダカやカエルなどの自然を残すことが大切だという価値観を持つ必要がある」と強調、「そこに生活する人たちの福祉や健康を最優先する自治体づくりをすすめなければならない」と述べた。シンポでは、オオタカの保全区域を見直すことや無駄な公費投入をしないよう求める要望書を、県、千葉市、市原市に提出することを決めた。  関連ページ

●12月7日
 日本で最も汚れた湖沼は千葉県の手賀沼で、25年連続ワースト1位になっていることが、環境庁の1998年度水質調査結果でわかった。

●12月11日
 環境庁は、全国の河川を対象に実施した「環境ホルモン緊急全国一斉調査」の結果を発表した。それによると、県内では市原市の高滝ダムを水源とする養老川が有害物質の「4−t−プチフェノール」に全国で最も汚染されていることが分かった。

●12月11日
 三番瀬の保全運動にとりくんでいる県内の市民団体は、市川市教育会館で「三番瀬の評価と保全〜あなたはどんな三番瀬を子供たちに残したいですか?」というテーマで、「策定懇直前シンポジウム」を開いた。これは、第4回計画策定懇談会が25日に開かれるのを前に開催したもの。参加者130人だった。パネラーは、水産庁中央水産研究所室長の松川康夫氏、千葉県立中央博物館生態学研究科長の中村俊彦氏、日本自然保護協会研究担当部長の開発法子氏の3人。県の補足調査委員を務めた松川氏は、三番瀬に生息する生物の種類や生態系を説明したうえで、「(猫実川河口は)泥っぽいからといって埋め立てると、三番瀬に重大な影響がおきる」「東京湾の干潟や浅瀬は、もうこれ以上埋め立てるべきではない」などと話した。中村氏は、「干潟は自然のパラダイス」と述べ、三番瀬を含む千葉県側の東京湾沿岸は、世界一豊かな生物層の多様性が残されている場所だと強調した。また、このような「お金では買うことのできないすばらしい自然を財産にすることが必要だと思う」と訴えた。計画策定懇談会のメンバーである開発氏は、県が示している埋め立て案は、土地利用計画など多くの問題点があると指摘し、すでにある浅場や干潟をつぶして人工干潟に変え、三番瀬の持つ浄化力や自然をつぶし下水道処理場や公園をつくるのは逆立ちした議論だ、などと述べた。また、市民が海とふれあう三番瀬を活かした街づくりの必要性を強調し、「策定懇での議論は始まったばかりであり、もっと議論が必要」と話した。  関連ページ

●12月13日
 11日に市川市内で「策定懇直前シンポジウム」を開いた同実行委員会のメンバーは、第4回の計画策定懇談会を最終会合にせず、議論を継続するよう求める要望書を県に提出した。  関連ページ

●12月14日
 常磐新線に伴う柏市北部開発に反対する大室、小青田地区の住民団体は、柏市議会常磐新線特別委員会協議会に出席し、開発反対を訴えた。

●12月15日
 三番瀬の埋め立て問題で、県は、人工干潟の造成は13ヘクタールに縮小するものの、埋め立て面積自体は6月にまとめた101ヘクタールのままとする埋め立て計画の最終案を固めた。

●12月16日
 「市川緑の市民フォーラム」は、計画策定懇談会の継続開催などを求める要望書を千葉県に提出した。  関連ページ

●12月17日
 市川緑の市民フォーラムは、「三番瀬の自然環境の保全と市川市臨海部のまちづくりについての市民提案」の検討を市川市長に対して要望した。要望書では、市川市長もメンバーとなっている計画策定懇談会の継続開催も求めている。  関連ページ

●12月17日
 三番瀬を守る署名ネットワークは、三番瀬埋め立て計画の白紙撤回を求める約2万5000人分の署名を県知事あてに提出した。署名提出は1998年4月から4回目で、総数は約22万人分になった。

●12月17日
 日本弁護士連合会は、三番瀬埋め立て計画に対する意見書を環境庁と千葉県に提出した。意見書では、三番瀬埋め立て計画を即時中止し、ラムサール条約上の登録湿地として保全をはかることなどを求めている。  関連ページ

●12月20日
 市川市の江戸川河口で建設省が大規模な河口堰の改築を計画している問題で、建設省と関係市民らでつくる「行徳可動堰懇談会」の2回目の会合が開かれた。建設省側が利根川の利水計画について説明したのに対し、「利根川の全域を視野にいれた総合治水対策を検討すべきではないか」などの意見が出された。また、可動堰周辺に生息しているヒヌマイトトンボについての専門委員会を発足することになった。

●12月20日
 千葉県弁護士会は、県の残土条例がこれまで市町村でつくられた条例の規制を緩和するような問題点があるとして、県に残土条例を見直すよう意見書を提出した。

●12月20日
 三番瀬の埋め立て問題で、千葉県は、101ヘクタールの埋め立てと13.2ヘクタールの人工干潟造成を実施した場合の環境影響予測などを発表した。水質浄化能力が失われてマハゼなどの稚魚が減り、水鳥の一部の生息環境に影響する可能性がある、などとしている。また県は、埋め立て地を通る第二東京湾岸道路(第二湾岸道)の建設方法について、地下方式は技術やコストの面で困難、とする検討結果を公表した。

●12月21日
 三番瀬を通過する予定の第二東京湾岸道路のトンネル化は困難との検討結果を千葉県が公表したことについて、清水嘉与子環境庁長官は、「環境庁の言っていることが十分反映されていない。もう少し検討いただいてもいいのではないか」と述べ、千葉県に再検討を促す考えを示した。

●12月22日
 三番瀬埋め立て計画について、千葉県が25日開催の第4回計画策定懇談会で討議を終了しようとしている問題で、「三番瀬を守る署名ネットワーク」は、県庁前で早朝宣伝を行った。「101ヘクタールの埋め立てと人工干潟造成の必要性、環境影響予測など、議論はこれからである。やっと本題に入ったところで討議を打ち切るとは、委員軽視もはなはだしい」「県財政が1兆8000億円もの赤字となっているなか、緊急性のない公共事業はストップし、埋め立て計画は白紙撤回をすべき」などと訴えた。

●12月22日
 三番瀬埋め立て問題で、「三番瀬フォーラム」と「三番瀬研究会」は、県の計画策定懇談会に代わって、県と地元自治体、市民団体、専門家らを交えた新たな協議機関を設置するよう求める要望書を県に提出した。

●12月24日
 習志野市議会は本会議で、同市から再提案された新清掃工場の建設計画に伴う工事契約の締結案を可決した。7月の臨時市議会では「業者選定の過程が不透明」「大規模焼却施設の建設よりゴミ減量化を優先すべきだ」などの理由で否決されたが、この日は、7月に反対した会派のうち新社会の一人が賛成に回ったため可決された。

●12月25日
 三番瀬の埋め立て計画を話し合う第4回計画策定懇談会が、千葉市内のホテルで開かれ、県は会議の中で事実上の策定懇打ち切りを表明した。この日の策定懇では、県が、101ヘクタールの埋め立てと13.2ヘクタールの人工干潟の計画を示し、環境影響予測や埋め立てによる土地利用の必要性を説明した。委員の千葉光行・市川市長らは「埋め立て面積は許容範囲だ」と賛意を表明したが、自然保護団体の委員らは、策定懇の継続を求めた。審議打ち切りについて、「三番瀬を守る署名ネットワーク」(大浜清代表)は「埋め立て計画について十分な議論がつくされていないなかで討議を打ち切るのは、とうてい容認できない」「埋め立て計画を白紙に戻し再検討が必要」と抗議声明を発表した。また、策定懇委員の開発法子氏(日本自然保護協会)は、「埋め立て地の土地利用計画や第二湾岸道路建設などについての説明はまったくあいまい。これから審議をすすようというのに打ち切るのは納得がいかない」と語った。

●12月27日
 「三番瀬を守る署名ネットワーク」は、計画策定懇談会の打ち切りに対する声明を発表し、声明文を千葉県知事と千葉県企業庁長、計画策定懇談会委員に送った。  関連ページ

  

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