8号ヘッドランドは従来工法で工事再開

〜第3回「一宮の魅力ある海岸づくり会議」〜




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 「一宮の魅力ある海岸づくり会議」(会長・近藤健雄日本大教授)は、県が一宮海岸(南九十九里浜)で進めている侵食対策のあり方を住民と専門家らが検討するものです。その第3回会合が(2010年)12月23日、一宮町保健センターで開かれました。焦点はコンクリート製「ヘッドランド(人工岬)」の工事をどうするか、です。


 九十九里浜をメチャクチャに破壊


 ヘッドランドは、九十九里浜の侵食対策として県が1988年から建設を進めているものです。九十九里浜で全22基、そのうち一宮海岸(南九十九里浜)は10基を建設中です。
 建設の目的は侵食対策です。ところが、ちっとも侵食対策になっていません。そればかりか、景観や自然環境をメチャクチャに破壊です。
 そこで、サーファーたちが「一宮の海岸環境を考える会」を立ち上げ、工事の一時中止と見直しを求める署名を約4万4000筆集めて県知事などに提出しました。その結果、地元の一宮町は官民協議会「一宮の魅力ある海岸づくり会議」を6月27日に発足させました。


 前回会議では再検討が確認された


 前回(第2回)の会議では、秋山章男委員(九十九里浜自然誌博物館館長)が、ヘッドランド建設によってアカウミガメの上陸や産卵に大きな影響がでていることを、映像やデータを示して報告しました。
 中村新吾委員(一宮町サーフィン業組合代表代行)は、「一宮海岸は、1995年と1996年にサーフィン世界大会が開かれるほど、サーフィンに適した波が立つ」と述べ、それがヘッドランドによって阻害されつつあることを述べました。また、ヘッドランドが34基つくられた茨城県鹿島灘海岸では、ヘッドランドが離岸流を発生させて危険なため、海岸への立ち入りが禁止されていることを話しました。海岸を擁する大洗町などでは、町中のあちこちに立入禁止のポスターが貼られているとのことです。海水浴やサーフィンができないばかりか、海岸への立ち入りそのものが禁止になったのです。
 こうした報告をもとに議論した結果、今後のヘッドランド工事は、形状や工法を見直す方向で検討することになりました。今回(第3回)の会議で県が案をいくつか提示することになったのです。


 2010年度は従来工法による工事再開を決定


 ところが、県が今回提示した案は、8号ヘッドランドの縦堤を延長し、従来工法で完成させるというものです。3つの工法をコンサルタントに比較検討させた結果、8号の縦堤を延長したほうが侵食対策でいちばん効果があるという結果になった、と説明しました。
 8号の縦堤延長がいかに効果があるかということを、専門家の宇多高明氏(同会議副会長、日本大学理工学部海洋建築工学科客員教授、財団法人土木研究センター審議役)がとくとくと説明しました。宇多氏は、ヘッドランドを提唱し、全国各地のヘッドランド工事を推進してきた人物です。
 議論の結果、来年度以降の工事については再検討することとし、今年度は、県と宇多氏の提案どおりに8号を従来工法で完成させることになりました。2011年3月開催予定の次回(第4回)会議で県が再検討案を提示する予定です。
 ちなみに、ヘッドランドが完成している2号と3号の間は侵食が激しいことから、今年度も養浜事業を継続することになりました。今年度は、漁港に堆積した土砂などを海上と陸上から計2万立方メートル投入します。


 8号ヘッドランドの延長が決まった裏事情


 今年度は従来工法で8号を完成させることになった本当の理由は、なんとしてでも予算執行をしたい県の意向があります。また、受注業者との関係もあるといわれています。
 そういうことから、事前に県と宇多氏、一宮町の間で話し合いが行われ、今年度は従来工法でやるしかないという結果になったのだと推測されています。













一宮海岸(南九十九里浜)で建設中の人工岬「ヘッドランド」

ヘッドランドがほぼ完成している2号と3号の間は、未完成のところ(たとえば9号
と10号の間)や工事対象外(10号の手前の海岸)よりも侵食が激しくなっている。








ヘッドランドがほぼ完成している2号と3号の間は侵食が加速。(写真は2010年2月時点)




整備中のヘッドランド




ヘッドランドが34基つくられた茨城県鹿島灘海岸では、海岸への立ち入り
が禁止されていて、町のあちこちに立入禁止のポスターが貼られている。




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