海岸侵食対策を議論する官民会議スタート

〜第1回「一宮の魅力ある海岸づくり会議」〜





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 侵食対策のあり方を住民と専門家らが検討する「一宮の魅力ある海岸づくり会議」の第1回会合が(2010年)6月27日、長生郡一宮町の保健センターで開かれました。
 この会議は、「一宮の海岸環境を考える会」が4万4000の署名を添えて一宮海岸(南九十九里浜)のコンクリート製「ヘッドランド(人工岬)」工事の一時中止と見直しを要望したことから、玉川孫一郎一宮町長が発足させたものです。


 防護、利用、環境考慮の海岸侵食対策を協議


 一宮海岸のヘッドランド(10基)は、県が侵食対策として1988年(昭和63)から建設を進めています。しかし、侵食をいっそう加速させるばかりか、景観や自然環境をメチャクチャに破壊しています。
 会議の目的は、「一宮町の海岸において、防護、利用及び環境を考慮した海岸侵食対策について協議を進め、魅力ある海岸づくりに資すること」(会議の規約)です。
 委員は、学識経験者や区長、海岸利用者、観光関係団体代表、商工会代表、県・町の関係課長・所長など26人です。
 この日はまず、会長に日本大学理工学部海洋建築工学科の近藤建雄教授、副会長に同科の宇多高明客員教授を選びました。
 つぎに、宇多客員教授や清野聡子准教授(九州大学大学院工学研究院都市部門)、県の担当者が一宮海岸の海岸侵食の現状などを説明しました。


 「5年前ぐらいから砂浜が狭くなった」


 そして、意見交換です。委員からこんな意見がだされました。

 「自分も昔から海に入っている。昔は砂浜が広かった。ヘッドランドが直接的な原因かはわからないが、今では砂浜が狭くなりつつある。一宮の海にあこがれて年間何万人という方々が一宮に来ている。6号ヘッドランドの消波ブロックが入った時、サーファーの方から県の方に、説明を求める署名を行なった」

 「とにかく養浜を実施してもらい、砂浜を増やしてもらうのが重要である。県には、昨年からお願いしている」

 「私は一宮町に越してきて10年ほどになる。その当時はまだ砂浜が広かった。5年前ぐらいから砂浜が狭くなり、場所によっては立入禁止などの看板が立っている。なぜこのようになったのかが疑問である。一宮を良い町にしたい」

 「たとえば茨城県鹿島のヘッドランドでは、ヘッドランドの周りが立入禁止になってきている。過去の事例も含めて、九十九里浜ではどういう砂の付き方を我々地元が望んでいるのかということを整理していく必要がある」

 「今までは、九十九里浜がたいへんなことになっていると話題になっても、地元では海岸の危機に対して無関心なところがあった。いまは元気な若い意見がいっぱい出てきている。地元の多くの方々が砂浜を守りたい強い意志があるとわかり、県は助かっているのではないか」


 「新住民が行政に要請するのはとんでもないこと」


 一方、一部の委員は、ヘッドランド工事を当初計画どおりに推進すべきという強硬な意見を主張しました。こんな意見です。

 「昔からの地元住民反対意見を出さないのに、新住民がヘッドランド工事の一時中止を求める署名を集めたり、行政に要請したりするのは、とんでもないことだ。そんなことは、もとからの住民に相談してからやるべきだ」

 「なぜこのような反対意見が出るのか。なぜ事業のはじめに意見を言わなかったのか。このような会議ができたのも、反対意見が出たからである」

 「ヘッドランド工事は続行し、(10基)すべてを完成させるべきだ。このような会議は、ヘッドランドがすべて完成した時点で様子をみて開くべきだ」

 「新住民が町長に面倒をかけたり、足をひっぱるようなことをやっている」

 「我々が、こうでもない、ああでもないと意見を言いすぎると、県は対策をやりにくくなるのではないか」


 次回の会合は9月下旬に開かれる予定です。













一宮海岸(南九十九里浜)で建設中の人工岬「ヘッドランド」

ヘッドランドがほぼ完成している2号と3号の間は、未完成のところ(たとえば9号
と10号の間)や工事対象外(10号の手前の海岸)よりも侵食が激しくなっている。








ヘッドランドがほぼ完成している2号と3号の間は侵食が加速。(写真は2010年2月時点)




整備中のヘッドランド




ヘッドランドが34基つくられた茨城県鹿島灘海岸では、海岸への立ち入り
が禁止されていて、町のあちこちに立入禁止のポスターが貼られている。




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