八ッ場ダム事業から撤退を

〜千葉県自然保護連合が県知事に要望書〜




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 千葉県自然保護連合は(2013年)5月8日、八ッ場ダムに関する要望書を県知事に提出しました。要望書は、八ッ場ダム予定地の地域再生や生活再建に尽力することや、八ッ場ダム建設事業から撤退、総合治水対策への転換を求めています。
 要望書を提出したあと、担当課(水政課、河川整備課)と八ッ場ダム事業について話し合いました。


要 望 書



2013年5月8日

 千葉県知事 森田健作 様

千葉県自然保護連合
代表 牛野くみ子


八ッ場ダム建設事業と利根川の治水対策に関する要望書

 平素より県民のためにご尽力くださり、厚く御礼申し上げます。
 さて、群馬県長野原町の利根川支流・吾妻川に計画されている八ッ場ダムは1952年に計画されました。以来61年たちますが、本体着工にいたっていません。今後も工期延長や事業費増額が不可避とされています。
 八ッ場ダムのうたい文句は「現地再建方式」(ずり上がり方式)でした。新しくできるダム湖の湖畔に代替地を造成するというものです。しかし、代替地整備の遅れなどにより現地は疲弊の一途をたどり、住民は苦境に立たされています。また、首都圏の人口が減少に向かうなど、八ッ場ダムをめぐる状況は一変しています。治水対策も、ダムに依存するのではなく、流域全体を考慮する総合治水対策が求められています。
 こうしたことから、八ッ場ダム建設事業を推進してきた千葉県に対し、以下のことを要望します。

  1. 八ッ場ダム予定地の地域再生や生活再建に尽力してください。

       この10年間、水没5地区の住民は694世帯2004人から495世帯1326人に減少しました。川原湯温泉街の旅館は1980年代の22軒から4軒に激減です。代替地は温泉街のイメージとはほど遠く、移転しても旅館の経営は困難が予想されます。

  2. 千葉県の人口は減少に転じました。水需要は増えないので、これ以上の水資源開発は不要です。後述のように、利根川の治水においても八ッ場ダムは要りません。したがって、八ッ場ダム建設事業から撤退し、今後の県負担金は水没予定地の地域再生や生活再建に回してください。

       本県の人口は2011年、県の見込みより7年も早く人口減少に転じました。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、本県の2040年の人口は535万人で、2010年(621万人)に比べ14%も減少するとされています。工業用水の契約企業も減少傾向が続いています。

  3. 本県の真間川流域では、全流域を考慮する総合治水対策が大きな効果をあげています。利根川の治水においても、ダム依存ではなく、遊水地増設など総合治水対策への方向転換が求められています。国土交通省が作成した利根川・江戸川河川整備計画(案)を見直し、総合治水対策を取り入れた利根川水系河川整備計画を策定するよう、国交省に働きかけてください。

       真間川流域においては、大柏川第一調節池や国分川分水路などが洪水時に効果を発揮しています。流域が本来持つ保水・遊水機能を維持・増進するため、国分川調節池や大柏川第二調節池の設置も推進されています。
      利根川においても、遊水地が洪水時に大きな効果を発揮しています。利根川中流部に設置された田中調節池(千葉県柏市、我孫子市)、菅生調節池(茨城県常総市、守谷市)、稲戸井調節池(茨城県守谷市、取手市)の3つの遊水地の治水容量は、現況で計1億840万立方メートルです。八ッ場ダムの治水容量6500万立方メートル(計画)をはるかに上回っています。



要望書を手渡す県自然保護連合の牛野くみ子代表(右)



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